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工場で作らないのが理想? クラボウが描くスマートファクトリーの将来像2020クラボウグループ繊維展(前編)(1/2 ページ)

クラボウは2019年5月28〜29日、都内で開発商品や新たな取り組みを提案する「2020クラボウグループ繊維展」を開催。「ヒューマン・フレンドリー発想 〜人にやさしく、地球にやさしく〜」をテーマとし、新規開発素材や新規サービスなどを出展した。前編では同社のスマートファクトリーへの取り組みを紹介する。

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 クラボウは2019年5月28〜29日、都内で開発商品や新たな取り組みを提案する「2020クラボウグループ繊維展」を開催。「ヒューマン・フレンドリー発想 〜人にやさしく、地球にやさしく〜」をテーマとし、新規開発素材や新規サービスなどを紹介した。

 前編ではその中でクラボウグループが取り組むスマートファクトリーへの取り組みを紹介する。

競争環境が激化する繊維業界が置かれた現状

 繊維業界では、グローバルでのコスト競争が激化しており、国内生産を取り巻く環境は厳しさを増している。その中で消費者ニーズの多様化などにより、多品種少ロット化が進み、品種の切り替えや品質の確保、管理などに大きな負担がかかるようになっている。一方で、労働人口の減少による人手不足なども深刻化しており、もはや部分的な改善では対応できない状況に陥っている。そのため従来とは抜本的に異なる新たなやり方での効率化や省人化が求められている。

 クラボウグループでもこれらの環境の変化に対応するために、個々の現場での取り組みを進めてきたが「多品種少ロットの生産が増えると、生産ラインの組み替えなどで生産現場の業務量は増える。そういう中で日常の業務に追われながら、新たなやり方を生み出すということが難しいのは明らかだった」(クラボウ 執行役員 繊維事業部 技術部長 平田政弘氏)。

 そこで2018年4月に愛知県安城市の安城工場内に新設したのが研究開発拠点「テキスタイルイノベーションセンター(TIC)」である。TICでは、商品開発や生産現場、生産システム開発などさまざまな分野からメンバーを集め、新たな製品や新たなモノづくりの在り方の模索などを行っている。生産に関連するメンバーでも、紡績、織布、染色、加工、縫製など各工程のスペシャリストを集めており、一連の取り組みをTIC内で完結することを可能としている。

 TICの役割について、TICセンター長である山内一平氏は「新たな製品やサービスを生み出すためには、新たなモノづくりの在り方や、新たなシステムなど、プロセス全てを刷新する必要が出てくる。日常の業務を切り離し、これらの一連のワークフロー全体を見て、最適な新たな姿を模索するのがTICの役割である」と述べている。

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2020クラボウグループ繊維展のTIC紹介パネルと、クラボウ 執行役員 繊維事業部 技術部長 平田政弘氏(左)とクラボウ 繊維事業部 テキスタイルイノベーションセンター センター長の山内一平氏(右)(クリックで拡大)

スマートファクトリー化への取り組み

 TICが繊維のモノづくり全体の革新を目指す中で、具体的には3つの取り組みを進めている。独自技術を確立することで革新的な製品やサービスを生み出す「商品開発」と、技術の伝承を容易にする技能、ノウハウの教育ツールを作る「技術支援」、そして、最新のデジタル技術を活用しモノづくりの見える化や自動化を推進する「生産システム開発」である。

 この「生産システム開発」として、中心的に取り組んでいるのがスマートファクトリーの実現だ。

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