「IT企業の求人は女性からの応募を想定していない」と半数が回答:キャリアニュース
ブッキング・ドットコム・ジャパンが世界10カ国6898人を対象とした「IT業界で働く女性に関する調査」の結果を発表。IT業界で働く女性の47%が「就職活動時のジェンダーバイアスが女性のIT業界進出を難しくしている」と考えていることが分かった。
トラベル・プラットフォーム「Booking.com」の日本法人であるブッキング・ドットコム・ジャパンは2019年5月16日、「IT業界で働く女性に関する調査」の結果を発表した。
同調査の対象は、イギリス、アメリカ、フランス、ブラジル、オランダ、ドイツ、中国、オーストラリア、インド、スペインの世界10カ国の計6898人。IT業界に関わる高校生と大学生、IT業界従事者(経験の浅い人から豊富な人まで)、そしてIT業界への復帰者で構成される。
就職活動時のジェンダーバイアスが、女性のIT業界進出を難しくしているかについて尋ねたところ、世界中のIT業界に従事する女性の47%が「難しくしている」と回答した。この質問をIT業界に興味を持つ大学生に尋ねた結果でも、62%が「難しくしている」と回答。就職活動時から感じるハードルの高さが、女性がIT業界を志望すること自体を妨げている可能性がある。
また、世界各地の女性回答者の51%は、IT業界で成功するための最も大切な要素として「職場のダイバーシティー」を挙げている。
「IT企業の求人は女性からの応募を想定していない」と半数が回答
次に、IT業界に従事する女性に、企業が現場でどのように採用し、才能を発掘しているか尋ねた。その結果、「(企業が)仕事内容や機会の全貌を正しく伝えることができず、適材を募集できていない」ケースが多くあることが明らかになった。
IT企業の求人については、「女性からの応募を想定して書かれていないと思う」と回答した人が51%に上った。また、女性のIT業界従事者と大学生の54%が「IT企業の求人はコーディングやプロダクトデザイン、データ解析やエンジニアリングなど技術職のことを多く言及し、それ以外の職務には脚光を当てていないと感じる」と回答しており、技術職ではない一般職でもIT企業への応募はしづらいと感じる女性が多いようだ。
次の調査結果は、IT企業への応募のしづらさを裏付けるものだ。IT業界への就職を希望する女子大学生の72%が「IT企業に勤めるには、部署(人事部、財務部、法務部、マーケティング部など)や職務内容にかかわらず、技術的なスキルや情報工学科の学位が必要だと思う」と答えた。国別にみると、この傾向が特に強かった国は、「インド」(83%)、「中国」(79%)、「ブラジル」(74%)だった。
さらに、IT業界で働く女性の50%と大学生の59%が「IT業界のキャリアパスが最初の段階で明確に見えない」と回答。この問題も、女性が同業界に入ることをためらう原因の一つと言えそうだ。
IT業界に入社した後のキャリア形成についても尋ねた。その結果、男性は将来のポテンシャルをベースに昇進する傾向があった。一方、女性の62%が「自分が昇進するためには、次の役職で必要なスキルを既に持っていなければいけないと感じる」と回答した。国別に見ると、この回答は「インド」(75%)と「中国」(74%)で特に多く見られた。
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