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プライベートLTEからローカル5Gへ、ドイツの製造業は進化を止めずIoTと製造業の深イイ関係(6)(2/3 ページ)

脚光を浴びるIoTだが、製造業にとってIoT活用の方向性が見いだしきれたとはいえない状況だ。本連載では、世界の先進的な事例などから「IoTと製造業の深イイ関係」を模索していく。第5回は、ドイツの製造業が期待を寄せる「プライベートLTE」と「ローカル5G」にスポットを当てる。

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産業用IoTでの活用が期待されるプライベートLTEとローカル5G

 現在、プライベートLTEとローカル5Gの実証実験が多く行われているのが、産業用IoTの領域だ。

 具体的な例を出して説明しよう。例えば、ボッシュ(Robert Bosch)は、プライベートLTEの活用に積極的だ。電動ドライバーにLTEを導入してプロファイルをダウンロードすることにより、ねじを締めるトルクや回転数、順番などをドライバーに記録し、製造工程管理を実現するソリューションの実証実験を行っている。これにより、電動ドライバーを使って製造する全ての製品の品質を均一にできるだけでなく、ねじを締める順番を間違った場合などにリアルタイムで修正を促すことができる。

ボッシュの事例
ボッシュは電動ドライバーからのデータ収集にプライベートLTEを活用している(クリックで拡大)

 しかし、導入の一番の目的は、製造工程を含めた状況(データ)を全てサーバにフィードバックすることにより、製造工程管理に加え、他の製品にも応用可能な情報を収集することにある。ボッシュは、同ソリューションをWi-Fiベースで構成していたが、プライベートLTEを活用した方が、電波干渉、帯域(特にアップロード)、ハンドオーバーなどに加え、特にセキュリティ面において、Wi-Fiよりも優れていると評価しており、今後プライベートLTE導入に向けた動きを加速させると考えられる。

産業用IoTにおける本命は工場の無線化と自動化

 工場内は、生産ラインごとに異なるネットワークが存在している。このことによって、需要に応じた生産ラインの組み替えが行いにくいなど、その汎用性の低さが課題となっている。さらに今後は、データの活用によって、大量生産、大量消費向けの製品開発から、顧客ごとにカスタマイズした製品開発に対するニーズが進むと予測されており、このことから汎用性の低さは大きな課題となりうる。

 そういった時代の流れも含め、運用の効率化やコストダウンなどさまざまな課題解決を目指して、工場内ネットワークの無線化へのニーズが高まっている。また、生産性の向上や品質の担保を目指し、工場の自動化も進められている。そのためにロボットアームや自走ロボット(Automated Guided Vehicles:AGV)などの活用が期待されているが、ロボットの制御も無線でリアルタイムに行うことが求められている。

 これらを実現するためにプライベートLTEの導入が進んでいるわけだが、工場の規模や生産工程の複雑度合いなどにより、LTEでは対応しきれない場合もある。そこで、プライベートLTEでは解決しきれない課題をクリアするために、5Gを待ち望む声が産業界から高まっているのだ。

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