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スマートな工場を実現するのに必要なスマートな組織とスマートな思考法IVI公開シンポジウム2019春(3)(1/2 ページ)

「つながる工場」実現に向けた取り組みを進めるIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2019年3月14〜15日、都内で「IVI公開シンポジウム2019-Spring-」を開催。今回はその中から、IVI 理事長の西岡靖之氏による講演「IVIM〜スマートな組織の思考法 ―つながるものづくりのメカニズム―」の内容を紹介する。

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 「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2019年3月14〜15日、都内で「IVI公開シンポジウム2019-Spring-」を開催した。

 今回はその中から、IVI 理事長の西岡靖之氏による講演「IVIM〜スマートな組織の思考法 ―つながるものづくりのメカニズム―」の内容を紹介。スマートモノづくりの実現に向けた具体策である「IVIM」や、その基になる組織の思考法などについて説明した。

設立5年目に入るIVI

 IVIは2015年3月に日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体となる形で設立準備が発表され、その後2015年6月に正式に設立が発表された※)

※)関連記事:「つながる工場」実現に向けた“日本連合”の土台へ、IVIが設立総会を開催

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IVI 理事長の西岡靖之氏

 インダストリー4.0など新たなモノづくり革新への動きが生まれてくる中で、「日本らしさ」を残した中でデジタル時代の新たな枠組みにどう対応していくのかを追求してきたことが特徴である。現場の課題から始まった問題点を抽象化して標準へとつないでいく「緩やかな標準」や、QCDE(品質、コスト、納期、環境)やPDCAサイクルなど現場の活動ベースの取り組みを織り込んだレファレンスアーキテクチャである「IVRA」、実際の課題解決サイクルである「IVIM」など取り組みの成果を示してきた。

 西岡氏は「第4次産業革命やデジタル変革の動きが広がりを見せる中、IVIとしての活動も丸4年となったが、新たな課題が次々に出てきているように感じている。データを巡る覇権争いや新しいビジネスモデルの創出など、取り組むべきことは非常に多い。既に危機感のような話は共有されているので、具体的な方針や事業計画、製品開発、サービス開発などに落とし込んでいく必要があると考えている」とこれまでの活動を振り返る。

 ただ、活動を進める中で、大きなポイントになるのが「人の考え方」だという。「具体的な活動に踏み込む中でマインドセットをどう変えるのかということにぶつかることが多い。そういう意味では、もともとはスマートな製造への取り組みだったが、スマートな組織の在り方にも踏み込む必要があるとも考えている」と西岡氏は考えを述べている。

 西岡氏は、スマートな組織とは「自ら学習しつなぎ変える組織」と位置付ける。「現在は人工知能が大きな注目を集めているが、組織の人工知能のようなことも実現可能だと考えている。組織全体で、学習データを投げて、正しい答えにより近いものを導き出すようなことも可能だと考えている」と西岡氏は語る。

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スマートな組織のイメージ(クリックで拡大)出典:IVI

 これをIVIでの取り組みに重ね合わせて部分的に体現したのが「IVIM」だという。「デジタル時代の思考方法としては、ロジカルシンキングやシステムシンキング、デザインシンキングなどの考え方が重視されている。スマートシンキングはこれらを組み合わせて、問題発見、問題解決、システム開発などで得られる知見を共有し、相互につながりを深めることで、より効率的で効果的な血の生産を行う思考プロセスだ。IVIMではこのスマートシンキングを基に形作っている」としている。

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