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求めたのは荒々しい鼓動感と美しいデザイン――無限の新開発OHVエンジンを見る東京モーターサイクルショー 2019

ホンダ車のチューニングパーツやレース車両を開発する無限(M-TEC)は、「第46回 東京モーターサイクルショー」(2019年3月22〜24日、東京ビッグサイト)に出展し、開発中のバイク用エンジン「MUGEN V TWIN ENGINE CONCEPT」を披露した。

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 ホンダ車のチューニングパーツやレース車両を開発する無限(M-TEC)は、「第46回 東京モーターサイクルショー」(2019年3月22〜24日、東京ビッグサイト)に出展し、開発中のバイク用エンジン「MUGEN V TWIN ENGINE CONCEPT」を披露した。2020年の正式発表を目指し、現在は詳細設計を進めている。


MUGEN V TWIN ENGINE CONCEPT(クリックで拡大)

 開発コンセプトを「荒々しい鼓動とトルク感、男性的な格好良さ」とするMUGEN V TWIN ENGINE CONCEPTは、空冷式のV型2気筒(Vツイン)でバイク用エンジンとして最大級である約2l(リットル)の排気量を持つ。ボア、ストロークの寸法は公開しなかったが「鼓動感を重視してロングストロークにする」(無限の担当者)。動弁機構にはOHV(Over Head Valve)を採用しており、低重心かつ豊かなトルクを生かしたクルーザー向けエンジンとなる見込みだ。


MUGEN V TWIN ENGINE CONCEPTの概要(クリックで拡大)

 また、エンジンの設計では「外観デザインと環境性能の両立を心掛けた」(同氏)という。外観面では、下部から上部にかけてシルエットが拡大するシリンダー、側壁に刻まれた空冷フィン、淡く光を反射するインテークパイプやプッシュロッドカバー、クランクシャフトカバーなどによって印象的な力強いデザインを構成した。


力強い印象を与える空冷フィンとプッシュロッドカバー(クリックで拡大)
左:MUGEN V TWIN ENGINE CONCEPTの側面 右:MUGEN V TWIN ENGINE CONCEPTのシリンダーヘッド回り(クリックで拡大)

 環境性能の向上では、ホンダがFormula 1に供給しているエンジンの部品加工も請け負う同社の優れた機械加工技術を生かす。加えて、「CFDを用いた燃焼解析によってポートや燃焼室形状を決定した」(同氏)とし、「昔ながらのOHVエンジンでも最新の環境規制を満たす設計だ」と自信を見せた。

 同エンジンの開発はマン島TTレースの電動バイククラスに挑む「神電」プロジェクトの対極にあるものだ。無限は2012年から神電プロジェクトに取り組み始めているが、「数年前から社内の有志が電動バイクの対極にあるものとして荒々しく美しいエンジンを開発するというコンセプトを練り始めた」(同氏)という。その後、このエンジン開発に対する機運が高まり、正式に開発プロジェクトが立ち上がった。


同時に披露されたマン島TTレースの2019年参戦マシンとなる「神電 八(SHINDEN HACHI)」。2018年マシンの「神電 七(SHINDEN NANA)」は決勝において平均時速196.05kmの過去最高記録を達成した(クリックで拡大)

 2018年の東京モーターサイクルショーにおいて無限は同エンジンの初号機となる「V TWIN ENGINE StudyModel」を展示。同機の排気量は今回展示された「CONCEPT」と異なり1.4lとしていたが、無限の開発担当者は「来場者から排気量が物足りないとフィードバックを受けた。排気量を増やさないと突き抜けた存在のエンジンにならないと感じたので、CONCEPTでは600ccの排気量アップを決定した」と開発の裏話を語る。

クランクシャフトカバーなどメッキ処理されたパーツが流麗な印象を与える(クリックで拡大)

 同エンジンの詳細な仕様や性能、提供価格などは現時点で未公開となる。市場への提供方法も検討中とするが、「量産車に搭載するのではなく、バイクのオリジナルフレームを製作するビルダーにエンジンを卸す」(無限の担当者)ことを想定しているという。

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