Armの組み込みLinux「Mbed Linux OS」が目指すセキュアな世界:Arm最新動向報告(4)(2/3 ページ)
「Arm TechCon 2018」で発表された「Mbed」関連の最大のネタといえば、Armが提供する組み込みLinux「Mbed Linux OS」だろう。
なぜArmが組み込みLinuxを投入するのか
さて、説明に戻ろう。Mbed Linux OSを簡単に言うと、「Cortex-A」向けの組み込みOS「Mbed OS」になる(図1)。Mbed OSの特徴を、LinuxベースとしながらそのままCortex-Aに持ち込んだのがMbed Linux OSということだ(図2)。
そのMbed Linux OSのメリットは? というのがこちら(図3)。組み込み機器向けのLinuxである「Yocto Linux」をベースとしており、すぐに取り掛かりやすいのが主な特徴とされる。ArmのIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「Arm Pelion IoT Platform(以下、Pelion)」との融合もポイントであり、ArmからすればPelionの普及の促進もこれで見込める。
ではMbed OSとの違いは? というのがこちらで(図4)、なんとなく順序が間違っている気はするが、ハードウェアの違いを無視してあえて比較すればこういうことになる。
図4 普通はハードウェア側で「Cortex-M」か「Cortex-A」かをまず決めるわけで、「Mbed OS」と「Mbed Linux OS」の特徴の差でどちらを使うか決めるということは普通あり得ない(クリックで拡大)
ここで、なぜMbed Linux OSが必要かという根本の話に戻ると、セキュリティの確保が目的になっている(図5)。このためにMbed Linux OSが利用するのは「Trusted Firmware」である(図6)。Trusted Firmwareがブートローダーの「U-Boot」を起動し、その後U-BootがMbed Linux OSを起動。そしてMbed Linux OSが「Trusted Application」を起動するという形で、アプリケーションやOSが不正でないことを担保する。
図6 右下に示されている通り、黄色の箇所が“Signed by Trusted World Signing Authority”、水色の箇所が“Signed by Normal World Signing Authority”、緑いろの箇所が“Signed by Application Signing Authority”である(クリックで拡大)
また、信頼できる実行環境(Trusted Execution Environment)の提供も必要である(図7)。またTrusted Firmwareには署名を必要とさせる(図8)とか、プログラム自身も分離を可能にする(図9)ことが求められる。
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