3D界のYouTubeを目指す――3DEXPERIENCE.WORKSが描くSOLIDWORKSの青写真:SOLIDWORKS World 2019(2/2 ページ)
SOLIDWORKS World 2019では4つの発表を通じて、3DEXPERIENCEプラットフォームとの連携を深化させることを明らかにした。SOLIDWORKSブランドのCEO(最高経営責任者)であるジャン・パオロ・バッシ(Gian Paolo Bassi)氏は、SOLIDWORKSを3D市場におけるデファクトスタンダードとする青写真を描く。
メインストリームCADを席巻するSOLIDWORKS、新たな市場の支配も狙う
バッシ氏は記者との質疑応答で、SOLIDWORKSを含めた3DEXPERIENCEプラットフォームを3D市場におけるデファクトスタンダードとすることを強く述べていた。
「われわれのユーザーは、従業員が100〜200人程度の企業から1〜20人程度の企業までさまざまだ。われわれはこの市場をほぼ独占できている。しかし、この市場以外にも、メイカーやファブラボ、ホビイストや学生など新規の市場でターゲットとなるユーザーはいるのではないか。既存市場と新規市場は全く違う世界のようにみえるが、共通の言語がある。それは3Dだ」
「われわれは既存市場で席巻する立場に立つが、新しい市場も支配したいと考えている。既存市場では1000万ユーザーを抱えているが、新規市場は1億ユーザー程度の需要がある。3Dを動画や写真と同じく一般になじみがあるものとする。動画ではYouTubeが、写真にはInstagramがあるが、3Dではわれわれがデファクトスタンダードになりたい。.Works戦略はこの目標に対するとっかかりとなるものだ」(バッシ氏)
その構想に対して、記者から「YouTubeやInstagramは操作が簡単で、コンテンツを他のユーザーと共有しやすいことから巨大なサービスとなった。それを目指すということか」との質問が上がったが、バッシ氏は「3DEXPERIENCEプラットフォームでその方向性を目指す」と回答した。
「3DEXPERIENCEプラットフォームはビジネス領域でのイノベーションを掲げたものだが、実際は誰にでも使えるものだ。(ダッソー・システムズが提供するSNSの)Swymはソーシャルコラボレーションを提供するが、ソーシャルコラボレーションは3DEXPERIENCEプラットフォームの基盤だ」
「その上位のレイヤーではコラボレーションイノベーションがあり、さらにその上に、ENOVIAやxDesign、SOLIDWORKSなどの各アプリケーションが乗る。これらが集合したものが.WORKS戦略となる。イノベーションとSOLIDWORKSの組み合わせは万人のためのものだ」
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