Windows 10の最新アップデート「Version 1809」による組み込み機器開発への影響:待ったなし!組み込み機器のWindows 10 IoT移行(6)(2/3 ページ)
2020年10月13日にサポートが終了する「Windows Embedded Standard 7」から最新の「Windows 10」世代への移行について解説する本連載。最終回の第6回では、Windows 10の最新アップデートである「Version 1809」と組み込み機器の関わりについて説明する。
RS1からRS5の主な更新内容
Windows 10 は機能更新のたびに複数の新規機能追加や修正が行われています。これらはWebで公開されるもの、されないものさまざまですが、その内容は新しいハードウェアやテクノロジーへの対応追加、セキュリティの強化、ユーザーインタフェースの変更など多岐にわたります。
ここでは、組み込み機器や産業用途に関連しそうな項目、システム設計時に注意しなくてはならない変更点を図2にピックアップしました。図2では、アップデートごとの抜粋を行っていますが、2016LTSB(RS1)と2019LTSC(RS5)の違いという観点ではこれら全ての変更内容が該当します。
特徴的な所では、高解像度モニターでのスケーリング強化(RS2)、Azureサービスへの対応追加や、セキュリティの強化(Windows Defenderシリーズ)などがあります。少し変わったところでは、新しいフォントの追加(RS3)や、GPU負荷表示がパフォーマンスモニターに対応(RS3)などの機能追加が行われました。
エッジデバイス上でAzureの一部機能を動作させるAzure IoT Edgeや、Windows 10上で機械学習ライブラリを実行させるWindows Machine Learningを実行させるためには、RS4やRS5といったより新しいバージョンのWindows 10が必要でした。そのため、RS1に相当するWindows 10 IoT Enterprise 2016 LTSBではこれら機能が利用できませんでしたが、RS5に相当するWindows 10 IoT Enterprise 2019 LTSCでは長期サポートモデルでありながら、これら新しい機能を利用できるようになっています。
なお、組み込み向けの機能については、Unified Write Filter(UWF、統合書き込みフィルター)におけるDiskオーバーレイ機能の強化や、(ロックダウン機能には含まれていませんが)Assigned Accessの改善(multi-app Kioskシナリオの追加)が主で、大幅な変更は行われていないようです。
バージョンアップにより無くなる機能
追加される機能がある一方で、削除される機能もあります。マイクロソフトは、Insider Program BlogやWebサイトを通じ、「バージョンアップで削除される機能」「開発が終了した機能」「利用が非推奨となる機能」を公開しています。
削除された機能の多くには代替手段がアナウンスされていますが、手順や見た目の変更など、バージョンアップ前との同一性が保証されるものではないので注意が必要です(図3)。
なお、長期サポートモデル(LTSC)には機能更新プログラムが無いため、製品のインストール後や使用中に機能が減る(削除される)ことはありません。しかしながら、既存システムでWindows 10 IoT Enterprise 2016 LTSBから同2019 LTSCへの置き換えや移行を検討される場合は、削除された機能による影響を受ける(2016 LTSBで使用していた機能が2019 LTSCに無い)可能性があるため、上記情報などを確認することを推奨します。
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