未来は予測できる、GAFAの隙間技術で勝負することが日本企業の生きる道:MONOist IoT Forum 東京2018(後編)(2/3 ページ)
MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2018年12月18日、東京都内でセミナー「MONOist IoT Forum in 東京」を開催した。後編ではVALUENEX 代表取締役社長の中村達生氏によるランチセッション「大量の情報を俯瞰して未来を拓く」とその他の講演内容について紹介する。
スマートファクトリーやIoT活用の具体的な事例を紹介
「MONOist IoT Forum in 東京」では、ここまで紹介してきた基調講演、特別講演、ランチセッションに加え、6本のセッション講演も実施した。その様子をダイジェストで紹介する。
課題に直結するIoT活用を訴えた東京エレクトロンデバイス
東京エレクトロンデバイスは「あなたの『課題』は何ですか? 〜今のIoT課題を乗り越えて次のステージへ〜」をテーマとし、スマートファクトリーやIoT活用における「実現に向けての壁」の乗り越え方について訴えた。
東京エレクトロンデバイス 第一営業部 担当部長の中村琢哉氏は「IoTへの関心は高いが、なかなか進まないとした感想が多い。さまざまな業務層でさまざまな課題があるが、その中で課題を整理しビジネス価値につなげるための方法を考えることが重要だ。課題解決の重要度が高ければ解決に向けた取り組みのインパクトも大きくなるからだ」と述べている。
その中で「現状では運用と実現に対する課題が多い。データ収集、データ通信、データ解析と分析などだ」(中村氏)としており、同社のソリューションで解決した事例などを紹介。さらに会場ではIoT向けメッシュ無線温湿度センサーの活用についてデモも行った。
デジタルエンタープライズによる業務革新を訴えたシーメンスPLMソフトウェア
シーメンスPLMソフトウェアは「デジタルエンタープライズ〜組立製造業の業務革新を支援する統合アプローチ」をテーマとし、製品ライフサイクル全てをデジタル化しデジタルツイン化を実現することで得られる価値について説明した。
シーメンスグループでは、オートメーション部門のリアルの領域とシーメンスPLMソフトウェアが担うバーチャルの領域の融合を目指し、これに向けたさまざまな企業の買収を進めてきた。シーメンスPLMソフトウェア インダストリー営業本部 本部長の貴島雅史氏は「モノづくりにおける個別のシステムの境界線がなくなってきている。融合する中での価値創出が重要だ」と語る。
その中で目指すのが「製品製造者の視点、生産技術者の視点、それぞれをデジタル化することで、最適化することを目指す。工程設計、検証、シミュレーションをデジタルで最適化する他、稼働のパフォーマンスのデジタルツインを構築する。これにより生産性を大きく改善できる。シーメンスのドイツ、アンベルクの工場は1990年から現在までの間にデジタル化により生産性は13倍に高められている。さらにシステム化やその連携により、中国の大連に全く同じ工場も立ち上げることができた」とデジタルエンタープライズ化による価値を訴えた。
デジタルツインでのCAEの価値を訴えたアンシス
アンシス・ジャパンは「リアルとシミュレーションがつながるDigital Twin」をテーマとし、IoT時代におけるシミュレーション(CAE)の価値について訴えた。
製品開発では数値シミュレーションが広く活用されるが、サービス面でもシミュレーションを適用し、IoTを活用した運用管理、予知保全などの高付加価値サービスを構築しビジネスの幅を広げることができるようになる。
アンシス・ジャパン アプリケーションエンジニアリングの桜井旭氏は「従来のCAEは個々の要素の評価だったが、要素を組み合わせたシステムの評価の領域に踏み込んでいる。デジタルツイン化が進むことでリアルの世界の実情に合わせたシミュレーションを活用できるようになる。幅広い領域でのCAE活用の価値を訴えたい」と語っている。
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