平成最後のETロボコンはライントレースに画像認識やAIが融合〜ETロボコン2018チャンピオンシップ大会〜:ETロボコン2018(2/3 ページ)
平成最後となる2018年のETロボコンでは、デベロッパー部門のアドバンストクラスに、コースに描かれた数字を読み取る「AIアンサー」が新たに導入された。「ブロック並べ」にも変更が加えられさらに難易度が上がったが、今回のレース結果はいかに。2回目となるガレッジニア部門と併せて、各チームの奮戦を動画とともに紹介する。
最短経路で数字を読み取る工夫
AIアンサーで並べられる数字は2つあるが、左と右でフォントが異なることに注目。右は電卓などでおなじみの7セグメント数字で、7本の直線だけで全ての数字を表現しているため、認識しやすい。しかし左は丸ゴシックのため、単純にはいかない。ライントレースロボットで認識するのは簡単ではなく、全14チーム中、ご名答は3チームだけだった。
ぱっと思い付くのは、ラインスキャナーのように上から何往復もすることだが、これだと時間がかかり過ぎて、制限時間内に終わらない。クリアするためには、より短いスキャン距離で認識できるような工夫が必要だ。
面白かったのは「SmartBonobo」(九州産業大学理工学部情報科学科)チーム。左のアナログ数字でスキャンするのは、なんと縦1列のみ。縦に走行するとそのまま解答エリアに進めるので、非常に効率的だった。右のデジタル数字も、4セグメントだけ調べて判別するよう工夫されていた。
数字の認識では、特徴点を利用しているチームが多かった印象だが、機械学習を活用していたのが「チームUltraPさま」(コニカミノルタ)。アナログ数字は横2列のスキャンで、k近傍法により95%の正答率を実現したという。このチームは競技結果は2位だったのだが、モデルが評価され逆転で総合優勝を果たした。
また「プロジェクトK」(パナソニック)は、「ご名答」とならなかったものの、アナログ数字のエッジをライントレースし、その軌跡データを深層学習に利用するという、ユニークな手法を採用していた。このチームはブロック並べでもカメラを活用して好成績を得ており、新技術をうまく取り入れることができていた印象だ。
ブロック並べも苦戦するチームが多く、4つとも正しく置けたのは「FCT」(富士通コンピュータテクノロジーズ)のみ。今回、カメラに挑戦していたチームはそれなりにいた印象だが、うまくいかなかったチームも多かったようだ。
順位 | チーム名 |
---|---|
1位 | からっ風産学隊2018(群馬大学&両毛システムズ) |
2位 | チームUltraPさま(コニカミノルタ) |
3位 | がんちゃん+One(岩手大学理工学部システム創成工学科+個人) |
表 アドバンストクラスの競技結果 |
順位 | チーム名 |
---|---|
1位 | チームUltraPさま(コニカミノルタ) |
2位 | がんちゃん+One(岩手大学理工学部システム創成工学科+個人) |
3位 | SmartBonobo(九州産業大学理工学部情報科学科) |
表 アドバンストクラスの総合結果 |
ちなみに、前回初めて導入された「韋駄天」ボーナスは、1回きりで今回は廃止。また例年、大胆なショートカットで走行タイムを大幅にカットするシーンが見られたが、今回のコースはショートカットが難しいレイアウトになっており、走行速度が走行タイムに直結していた。ギャンブル性を無くし、基本に忠実になったといえるかもしれない。
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