“つながる”TRONがオープンデータチャレンジ、公共交通と物流センターで:2018 TRON Symposium(1/2 ページ)
「つながる」がテーマとなる、トロンフォーラム主催の「2018 TRON Symposium−TRONSHOW−」。同シンポジウムを皮切りに、公共交通と物流センター、2つのオープンデータチャレンジがスタートする。
トロンフォーラムは2018年12月10日、東京都内で「2018 TRON Symposium−TRONSHOW−」(同年12月12〜14日、東京ミッドタウン)の記者発表会を開催。2018年のTRON Symposiumの見どころや、TRONプロジェクトの最新トピックスなどを発表した。
今回のTRON Symposiumのテーマは「つながる」。これまで注力してきたIoT(モノのインターネット)、オープンデータ、AI(人工知能)の共通点は「つながること」であり、それをそのままテーマに持ってきた格好だ。
「つながる」の核としてTRONプロジェクトが重視しているのが、IEEE(米国電気電子学会)が小規模組み込みシステム向けリアルタイムOSの国際標準として「μT-Kernel 2.0」を採用したことである。2017年に標準採用が発表されてから標準化作業が着実に進められ、2018年8月には正式に「IEEE 2050-2018」として標準化が完了したという。
TRONプロジェクトリーダーで東洋大学情報連携学部(INIAD) 学部長を務める坂村健氏は「IEEEの国際標準は、実際に使われているものが選ばれる。そういう意味で、IEEEにおける小規模組み込みシステム向けリアルタイムOSの標準はTRONしかないだろうといわれてきた。今回の標準化以降は、標準の名称の通り、IEEEが2050年まで責任を持って規格化とメンテナンスを行うことになる」と語る。TRON Symposium初日の12月12日午後には、IEEE New Standard Committee 議長のステファン・デュークス氏(Stephan D. Dukes)氏などが参加しての国際セッション「IEEE 2050-2018標準」を行う予定だ。
公共交通オープンデータは「東京にレガシーとして残る」
今回のTRON Symposiumで注目を集めそうなのが、開催に合わせて正式にスタートをアナウンスする2つのコンテストだろう。1つは、2017年から実施してきた「東京公共交通オープンデータチャレンジ」だ。現在は、2019年1月15日までの期間で第2回を開催中だが、第2回終了翌日の同年1月16日〜11月15日の期間で第3回が開催されることになった。
東京公共交通オープンデータチャレンジは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて設立された、東京に乗り入れる主要公共交通機関が参加する公共交通オープンデータ協議会が主催している。同会の議長を務める坂村氏は「2012年のロンドンでも、ロンドン市交通局がオープンデータ化を行った。このロンドンの場合、公共交通機関はほぼ全て公営なので、同市交通局がやると言えば一気にやれる。一方、東京の場合、一部を除いてほとんどの公共交通機関が民営であり、オープンデータ化するには互いの協力が必要だ。公共交通オープンデータ協議会はそのための組織であり、東京公共交通オープンデータチャレンジも共通基盤作りに何が必要かを試していくために実施している」と説明する。
実際に第2回の東京公共交通オープンデータチャレンジでは、国土交通省との共催により、主要駅の駅構内図や施設情報のデータが追加されるなどしている。そして第3回では、主催に東京都も加わり、屋内や地下空間に設置したBluetooth Low Energyビーコンなどのデータも公開する予定だ。「これらのオープンデータチャレンジを経て完成した『公共交通オープンデータセンター』は、東京オリンピック・パラリンピックだけのものでなく、開催後もレガシーとして活用を続けられることに意味がある」(坂村氏)。
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