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中小製造業の労働生産性向上の現在地、多能工化や設備投資は何をもたらしたか:2018年版中小企業白書を読み解く(3)(3/6 ページ)
中小企業の現状を示す「2018年版中小企業白書」が公開された。本連載では「中小製造業の生産性革命は、深刻化する人手不足の突破口になり得るか」をテーマとし、中小製造業の労働生産性向上に向けた取り組みを3回に分けて紹介する。第2回ではITによる労働生産性向上策を取り上げたが、第3回ではそれ以外のさまざまな取り組みについて紹介する。
設備投資による労働生産性の向上
労働人材不足に対する施策として挙げられた「設備投資による省力化」について、中小企業白書2018では、中小企業の設備投資の状況や設備投資による労働生産性の向上について、各種統計調査や「人手不足対応に向けた生産性向上の取り組みに関する調査」を用いて分析している。
中小製造業における設備投資額は増加傾向
まず初めに中小企業の設備投資額の推移を確認すると、リーマンショック後の2009年に大きく落ち込んだ後、しばらく伸び悩んでいたが、2013年に入ると緩やかに伸びはじめていることが分かる(図9)。
これら中小企業の設備投資額を業種別に確認してみると、製造業においてやや一服感が見られるものの、総じて見れば製造業、非製造業とも緩やかな増加傾向にある(図10)。しかしながら、いずれの業種もリーマンショック前の水準には達していない。
設備投資の実施率については、2010年以降、製造業、非製造業ともに緩やかな増加傾向にあり、直近ではリーマンショック前の水準を上回るなど中小企業の設備投資に広がりが出てきていることが分かる(図11)。
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