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中小製造業の労働生産性向上の現在地、多能工化や設備投資は何をもたらしたか2018年版中小企業白書を読み解く(3)(2/6 ページ)

中小企業の現状を示す「2018年版中小企業白書」が公開された。本連載では「中小製造業の生産性革命は、深刻化する人手不足の突破口になり得るか」をテーマとし、中小製造業の労働生産性向上に向けた取り組みを3回に分けて紹介する。第2回ではITによる労働生産性向上策を取り上げたが、第3回ではそれ以外のさまざまな取り組みについて紹介する。

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多能工化と兼任化で得られた「従業員の能力向上」

 従業員の多能工化と兼任化を行ったことによりどのような効果が得られるのだろうか。多能工化と兼任化の結果として「従業員の能力向上」に効果を感じていることが50%強の回答を得てトップとなっている他、「全体の業務平準化による、従業員の負担の軽減」が35.6%、「繁忙期や繁忙部署における業務処理能力向上」も35.1%の回答を得ている(図5)。多能工化と兼任化により業務量が平準化し、業務負荷が重かった従業員の負担軽減につながっているものと考えられる。

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図5:従業員の多能工化と兼任化によって得られた効果(クリックで拡大)出典:中小企業白書2018

 多能工化と兼任化の取り組みと中小企業の労働生産性向上との関連性を見るため、多能工化と兼任化の取り組み状況別に、各企業における3年前と比べた労働生産性の変化について分析してみる。すると、多能工化と兼任化に「取り組んでおり、3年前に比べて積極化している」企業においては、労働生産性が向上したと感じている企業が59.0%となっている(図6)。

 一方で、多能工化と兼任化に「取り組んでいない」企業においては、労働生産性が向上したと回答した企業の割合が33.6%にとどまっていることが分かる。この労働生産性の向上が多能工化と兼任化の取り組みの成果のみによるものとはいえないものの、一定の相関関係があるものと推察できる。

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図6:多能工化と兼任化の取り組み状況別に見た、3年前と比べた労働生産性(クリックで拡大)出典:中小企業白書2018

多能工化と兼任化の課題は「時間的余裕」と「人材」

 それでは、中小企業が従業員の多能工化と兼任化を進めるうえでどのような事項が課題となってくるのだろうか。図7は、従業員の多能工化と兼任化を進める上における課題を示したものである。多能工化と兼任化に取り組むに当たり、「多能工化を進めるための時間的余裕がない」「多能工化を主導できる人材が社内にいない」「業務負担増加を懸念する従業員からの反発」など、複数の課題が存在していることが分かる。

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図7:従業員の多能工化と兼任化を進める上での課題(クリックで拡大)出典:中小企業白書2018

人手不足感が強い企業ほど多能工化と兼任化を積極化

 現在の人手不足感の程度別に、多能工化と兼任化の取り組みにおける今後の方針を見てみると相関性があることが見て取れる。人手不足感が強い企業ほど、多能工化と兼任化の取り組みを積極化する方針の割合が高くなっている(図8)。人手不足の状況に対応するため、従業員の多能工化と兼任化により、業務効率化を図っていく意図があるものと推察される。

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図8:人手不足感別に見た、今後の多能工化と兼任化への取り組みの方針(クリックで拡大)出典:中小企業白書2018

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