呼吸による動きを自動で補正する半導体PET/CT装置:医療機器ニュース
GEヘルスケア・ジャパンは、呼吸性移動による体動を自動補正する機能を搭載した「Discovery MI-AM edition」を発売した。診断の信頼性を向上し、追跡用マーカーや呼吸をコントロールする必要がないため、患者の負担を軽減する。
GEヘルスケア・ジャパンは2018年11月13日、体動の自動補正機能を搭載した「Discovery MI-AM edition(ディスカバリー エムアイ エーエムエディション)」を発売した。高分解能と高感度を両立する半導体PET/CT装置「Discovery MI」に、呼吸性移動による体動を自動で補正する機能「Advanced MotionFree」を搭載した。
同製品の臨床上の利点として、定量精度が最大30%向上すること(SUV mean)、病変サイズの体積測定で呼吸性移動による空間分解能の劣化が67%改善することが挙げられる。また、従来の外部呼吸監視システムでは、体の表面にマーカーを置いて平面上の位置と方向の動きを追跡するが、Advanced MotionFreeではPETの収集データから3次元で臓器の動きを取得・補正するため、患者の状況を問わず使用できる。
検査中はデータ収集と同時に呼吸運動が自動モニタリングされ、体動補正の必要性や、収集時間延長を全て自動で判断する。オペレーターがスキャン前後に特別な撮像設定をする必要もない。
患者にとっては、マーカーを胸腹部上に置いたり、意識的に呼吸をコントロールする必要がないため、検査の負担が軽減する。また、従来より約20%短い検査時間で呼吸同期検査が受けられる(患者の体格、投与量など撮影条件による)。
現行のPET/CT検査のうち、呼吸性移動の影響を受けているケースは50%にのぼると言われ、位置の誤認識や画像のボケ、空間分解能の劣化などさまざまな問題が生じている。同製品により、診断の信頼性が高まり、より正確な治療決定が可能になることが期待される。
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