FPGAの力を引き出す3種の開発ツールとは:新・いまさら聞けないFPGA入門(後編)(3/3 ページ)
あらためてFPGAの基礎から最近の動向までを含めて解説する「新・いまさら聞けないFPGA入門」。後編は、FPGAの最大の特徴を引き出すのに用いる最新のツールと、FPGAの採用が広がっている新たな市場について紹介します。
FPGAを採用する市場の拡大
基本的にFPGAは、ASSP(特定用途向け)製品と異なり、多種多様な市場の製品に組み込むことができます。最近の採用実績としては車載機器への搭載が多くなっています。理由としては開発サイクルの短縮(ASICと比較した場合)、コスト効果と柔軟性、また品質および機能安全要求の適合を満たすデバイスの登場などが挙げられます。
例えば、先進運転支援システム(ADAS)の映像解析では、車載カメラから得られるリアルタイム映像信号を瞬時に解析してドライバーの運転操作を支援する必要があり、低遅延かつ高精度なアルゴリズムが必要とされています。このレベルを達成するには、最先端の半導体ICを使用する必要がありますが、新規のASIC開発スケジュールでは、短くなる一方の開発サイクルや費用が追い付きません。そこで、ASICとは違って、デバイス内の電子制御機能の大部分を変更できるFPGAの採用が広がっているのです。
この他、北米のデータセンター分野を皮切りに、欧州や中国でFPGAの採用事例が増えています。前編でも説明しましたが、特にデータセンター分野においてはFPGAの電力効率の良さが認められて大手のクラウド(やデータセンター)への採用が増加しています。主に、CPUのオフロードの役割をFPGAにもたせたAI(人工知能)、セキュリティ、認証、リアルタイム解析、ディープラーニングへのシステムへの採用などです。
また、FPGAを使用すると、大規模データシステムのパフォーマンスを向上させることができます。ネットワーク/ストレージシステムに対してカスタマイズされた広帯域幅かつ低遅延の接続性を提供することで、データ処理の高速化を実現します。さらにFPGAは、圧縮、データフィルタリング、アルゴリズムアクセラレーションにも対応します。
さらに、ディープラーニングの世界では日々最適なモデリングが変わっていくために、FPGAの回路変更の柔軟さもシステムの向上の助けとなっています。先述のOpenCLやHLSといった最先端のツールを使って、効率よく短い時間での製品リリースを行っているようです。
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