WRS2018ものづくり部門レポート〜絶食のドラえもんを救うチームは現れたのか?:World Robot Summit徹底解剖(4)(1/5 ページ)
2018年10月17日〜21日、東京ビッグサイトで開催された「World Robot Summit 2018(WRS2018)」。本稿では「ものづくり」部門の「製品組立チャレンジ」についてレポートする。
本連載でこれまで競技内容をお伝えしてきた「World Robot Summit 2018(WRS2018)」が2018年10月17日〜21日、東京ビッグサイトで開催された。4部門で並行して競技が行われるため、取材する側にとっては結構大変なイベントなのだが、今回はまず、「ものづくり」部門の「製品組立チャレンジ」について、当日の模様をレポートしたい。
製品組立チャレンジは、産業用ロボットを使って行う競技である。WRS2018での課題は、モーターやベルトなど19種類の部品で構成される「ベルトドライブユニット」を組み立てること※)。完成すれば、ひもの先にあるどら焼きを巻き上げる仕組みになっていたのだが、さて、ドラえもんを喜ばせることができたチームはあったのだろうか。
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まずは小手調べのタスクボード
製品組立チャレンジには全16チームが出場。国内チームと海外チームの比率はちょうど半々で、海外からは米国、英国、デンマーク、ドイツ、タイ、シンガポール、中国からの参加があった。使用機材もさまざまで、まるで産業用ロボットの見本市のようだったが、海外チームの多くはUniversal Robotsの協働ロボットを採用していたのが印象的だった。
ロボットの競技会というと、一般的には中央に競技を行うフィールドがあって、順番が来た選手がロボットをそこに持って行くスタイルの場合が多いのだが、産業用ロボットだとどうしても設備が大掛かりになってしまい、移動は難しい。そのためこの競技では、各チームがそれぞれブースを設け、順番に競技を行う方式になっている。
初日に行われたのは「タスクボード」タスクだ。部品を認識して、つかんで、決められた場所に取り付けるという、モノづくりの基本的な技術を評価するタスクなのだが、小さなネジから柔軟なベルトまでさまざまな種類の部品があるので、汎用的な能力が問われる。部品は競技開始の10分前に配布されるため、現物合わせの教示も難しい。
多くのチームが苦労する中、デンマークの「SDU Robotics」チームが92点という高得点を獲得。2位に30点の大差をつけて初日のトップに立った。このチームは、Universal Robotsの新型機「UR10e」を2台使用。2本指のグリッパーと市販の電動ドライバーをうまく連携させ、課題をクリアしていた。画像の認識は、天井のカメラで行っているとのこと。
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