5年で求人が3倍増、活況を呈する自動車業界の転職事情:モノづくり業界転職トレンド(2)(2/2 ページ)
日本の産業をけん引してきた自動車業界で、求人がここ5年で3倍になるなど大幅に増加している。その背景を転職コンサルタントに聞いた。
経験豊富なスペシャリストのニーズも上向き
では自動車業界への転職者は、どのような業界の出身者が多いのか。
自動車特有の開発の流れや品質基準などを理解していることから、同業界内での転職者は依然としてマジョリティではある。ただ家電やOA機器など、自動車業界が今後進んでいく方向において必要な技術を持っている人、またティア2、ティア3からメーカーの品質関連ポジションへの転職も増えている。また家電メーカーやOA機器メーカーの系列ソフトウェア会社や、自動車関係の仕事を多く請け負っている独立系SIerからの転職者も多くなってきている。
年齢層も幅が広がっている。以前は年齢が高くなるほど求人数自体も少なかったが、特殊な技術を持っていれば、役職や年収が高くなる人でも採用は増加している。「最近、日系の総合電機メーカー出身の50歳を超える方が、部下なしの担当課長という形で、スペシャリストとして採用されたケースがある。日系の大手企業の場合は、管理をする方はすでにおられ、どちらかというとある領域のスペシャリストを求めて、経験豊富な方を採用したいという意向が強くなっている」(関寺氏)。
とはいえ、40歳、50歳になって本当に転職できるのか。そういう質問を投げかける相談者は少なくないそうだ。「経験を積まれている方ほど、ご自分の価値を低く見ている方が多いように思う。最近では転職ありきではなく、ご自身の可能性や、自分に合う求人にはどんな企業があるのかなど、今のキャリアの価値を知るためにご相談いただくケースも増えている。お話していく中で、市場の状況や活躍していただけるフィールドがあることを知って、実際に転職に踏み切る方もいる」(関寺氏)。
ダイナミックな技術革新の真っただ中にあり、まだまだ伸び代のある自動車業界は、とても魅力的な業界。求人数自体が多い現在は、待遇や家族との時間など、スタンダードな転職理由を満たすだけでなく、自分の求めるやりがいや、これまでとは違う面白さなど「プラスα」を手に入れられる可能性がある。
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