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パナソニックの次の100年を担う新規事業、それはIoT急須か自分語りする野菜かイノベーションのレシピ

パナソニック初の全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」では、同社のオープンイノベーションを基にした新規事業創出活動が一堂に会する「NEXT100」という展示が行われた。

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 パナソニック初の全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日)では、同社のオープンイノベーションを基にした新規事業創出活動が一堂に会する「NEXT100」という展示が行われた。同社はB2Bシフトを鮮明にしており、今回のイベントにおける講演や展示のほとんどは平日の11月2日までで終了する。しかし、NEXT100は唯一土曜日の11月3日まで公開しており、同社のオープンイノベーション活動をより多くの人々に訴えかける狙いがある。

 そんなNEXT100から、筆者が気になった展示を幾つか紹介しよう。なお、NEXT100で展示を行ったアプライアンス社の「Game Changer Catapult」については別途掲載しているので以下の記事をご参照いただきたい※1、2)

「100BANCH」からは常連(?)の昆虫食以外にIoT急須も

 パナソニックは、ロフトワーク、カフェカンパニーとともに、渋谷で実験スペース「100BANCH(ヒャクバンチ)」を運営している。100BANCHは、創業100周年を迎えたパナソニックが、これからの時代を担う若い世代とともに、次の100年につながる新しい価値の創造に取り組むための施設として2017年7月に開設。「100年先の世界を豊かにするための実験区」として100BANCHと名付けられた※3)

 今回のNEXT100では、100BANCHのアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」から15のプログラムが展示を行った。中でもひときわ目を引いたのが、昆虫食を食文化として考える「Future Insect Eating」だ。コオロギパウダーで作ったクラッカーの他、ジンにタガメエキスが入った色鮮やかなタガメ酒などを展示した。

コオロギパウダーで作ったクラッカータガメ酒 「Future Insect Eating」の展示。コオロギパウダーで作ったクラッカー(左)と色鮮やかなタガメ酒(右)。赤色の方がタガメ酒で、青色の方はゲンゴロウ酒だが、ゲンゴロウ酒は展示に間に合わなかったとのこと。タガメ酒は「香り高く、フルーティー」(説明員)で、試飲もできた(クリックで拡大)

 「IoT teapot teplo」では、ユーザーの体温や心拍数などのバイオリズムデータを基に、最適な温度や蒸らし時間で自動的に緑茶を作ってくれるIoT急須を開発している。緑茶への注目が集まっている海外でビジネスチャンスがありそうということで、2019年1月に「CES 2019」でお披露目し、同年2月にクラウドファンディングを開始する計画だ。

IoT急須最適なお茶を作ってくれる 「IoT teapot teplo」が展示したIoT急須(左)。指先をセンサーにかざすとバイオリズムデータを取得し、その状態に合わせて最適なお茶を作ってくれる。時間になると、茶葉を入れた部分が反転する(右)(クリックで拡大)

 「Smuzoo」は夫婦間で家事を共有できるプラットフォームアプリで、ゲーミフィケーションの要素を取り入れて、夫婦の家事分担率を計測し、見える化することができる。展示では、アナログのボードゲームを使ってSmuzooのイメージを伝えていた。

「Smuzoo」のアプリ画面展示に使ったアナログのボードゲーム 「Smuzoo」のアプリ画面(左)と展示に使ったアナログのボードゲーム(右)(クリックで拡大)

野菜が自分語りを始めた

 大阪府門真市のパナソニックの本社でも、社外パートナーとの新たな価値創造の取り組みである「Wonder LAB Osaka」が行われている。そのWonder LAB Osakaからは、言葉の壁を超える未来のテーブル「Transparent Table」だ。あらゆるコミュニケーションが可視化される「透明社会」の到来を想定して開発された。会話の内容から関連する画像がテーブルに現れ、その画像をタッチしてピンしたり、他の人とシェアしたりすることで、会議などのコミュニケーションをより円滑に進められるようになるという。

Wonder LAB Osakaの「Transparent Table」
Wonder LAB Osakaの「Transparent Table」。パナソニックの開発したマルチタッチテーブルを用いている(クリックで拡大)

 NEXT100のカフェコーナーに展示されていたのが「AGRI FOOD VISION」だ。バジルやロメインレタス、はつか大根などを自宅で育てられるミニ野菜工場「Smart菜園's(スマートサイエンス)」は、将来的に10万円程度にコストダウンし、各家庭で広く利用してもらうことを目指している。

ミニ野菜工場「Smart菜園's」
ミニ野菜工場「Smart菜園's」(左)。10万円程度にコストダウンできれば、かなりの重要が見込めそう(クリックで拡大)
「トーカブルベジタブル」に触れると、野菜が自分語り始める(クリックで再生)

 また、展示した野菜に触れると、自己紹介したり、自身を使ったレシピを説明したりする「トーカブルベジタブル」も展示した。人の静電気をセンシングする技術を応用したものだが、突如自分語りを始める野菜は何ともシュールだ……。

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