IoT製品でこれまでと違う方向性へ、キングジムの「ニッチ戦略」:イノベーションのレシピ
キングジムは2018年10月10日、スマートプログラムアラーム「リンクタイム LT10」を発表した。販売価格は1万3200円(税別)、販売開始は同年10月26日。同製品はスマートフォン(アプリ)やPC(Webブラウザ)から遠隔にある時計に指示を送りアラームなどの設定が簡単に可能だ。
キングジムは2018年10月10日、スマートプログラムアラーム「リンクタイム LT10」を発表した。販売価格は1万3200円(税別)、販売開始は同年10月26日。同製品はスマートフォン(アプリ)やPC(Webブラウザ)から遠隔にある時計に指示を送りアラームなどの設定が簡単に可能だ。
リンクタイムは「一言でいえば、IoT(モノのインターネット)目覚まし時計」(キングジム 常務取締役 開発本部長の亀田登信氏)である。同製品は指定の時間に、あらかじめ設定したテキストや、カレンダー(Googleカレンダーなど)の予定、天気予報などを読み上げるといった設定も可能だ。勤務先をはじめとする遠隔から、家族など複数のユーザーでシェアして、さまざまな設定ができる。アラームを止めた履歴はインターネット上でシェアでき、電子メールなどで配信することが可能だ。薬の飲み忘れ管理など、見守り機能としても使える。
最近、目覚まし時計はスマートフォンにとって代わられたものの、同社で市場動向を調べたところ「今も需要があることが分かった」と、リンクタイムの開発に携わったキングジム 開発本部 佐藤賢亮氏は説明する。
「便利なスマートフォンの目覚まし時計機能には欠点もある。端末のバッテリーが切れてしまうと使えない、寝床に持ちこんでしまうとネットサーフィンやゲームなどしてしまうといった問題がある」(佐藤氏)。寝床に持ち込むスマートフォンはケーブルを常につながないことが多い。リンクタイムの基本機能は目覚まし時計(アラーム)であり、ACアダプターにつなげてベッドサイドなど決められた場所に置いておくもの。電池が切れる心配も、寝つきが悪くなって夜更かしをしてしまうこともなくなるというわけだ。
「キングジムが開発してきたデジタル文具は“いつでも誰でも使える”良さがあった。これまではネットワークにつながる道具を積極的に作ってこなかった。しかし最近はスマートフォンが普及し、ネットワーク関連の設定や操作も簡単になった。誰でも簡単に使える文具と、いろいろな設定ができるネットワーク機器、双方の利点により、ユーザーの潜在的な不満を解消していく」(亀田氏)。
キングジムでは「ニッチ戦略」と称し、「一人が強く『欲しい』と思う」製品を開発してきた。例えば電子メモの「ポメラ」シリーズがその代表例として挙げられる。ポメラはテキストメモを作成・編集する機能のみにあえて限定し、インターネットには接続できない。今回のリンクタイムもニッチ戦略で開発された。
「ただしリンクタイムはポメラとは開発の方向性が違う製品。ポメラは特定の用途やユーザーに絞ったものであったが、逆にリンクタイムは、開発側も予想できないさまざまな用途が想定されるものであり、これまでになかった方向性でもある。そこが開発当初、社内では議論になった」(亀田氏)。ポメラの電気設計系の担当もリンクタイムの開発に携わったという。またポメラとは違うメーカーになるが、中国の設計会社との協調設計も行った(関連記事:ポメラのメカ設計〜日中をつなぐ3次元モデル)。
今後は、「Alexa」「Googleアシスタント」といった音声アシスタントとの連携機能の提供を予定している(時期は未定)。
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