ディープラーニング関連機能を大幅強化したモデルベース開発環境の最新版:組み込み開発ニュース
MathWorksは、データ解析ソフトウェア「MATLAB」とシミュレーションシステム「Simulink」の最新版「Release 2018b」を発表した。ディープラーニング関連機能を大幅に強化し、生産性と使いやすさを改善した。
MathWorksは2018年9月18日(現地時間)、数値解析ソフトウェア「MATLAB」とシミュレーションシステム「Simulink」の最新版「Release 2018b(R2018b)」を発表した。既に提供を開始している。
R2018bでは、新しい機能追加やバグ修正に加え、ディープラーニング関連機能を大幅に強化し、生産性と使いやすさを改善した。
MathWorksは、ONNX(Open Neural Network Exchange)コミュニティーに参加することで、相互運用性を向上。MATLABと他のディープラーニングフレームワークの連携を可能にした。R2018bを利用するエンジニアは、ONNXコンバーターを介して、PyTorch、MxNet、TensorFlowなどのフレームワークからモデルをインポート、エクスポートできる。
NVIDIAライブラリに対応する「GPU Coder」は、自動調整やレイヤーフュージョン、バッファーの最小化など最適化されており、推定パフォーマンスがより改善されている。また、IntelやArmプラットフォームの導入支援も追加した。
動画のラベル付けを自動化するなど、手間がかかるディープラーニングでのラベル付けも改良した。Simulinkでは、スマート編集機能を追加したことで直感的にモデルを作成できるようになった。ブロックの外枠をドラッグすれば自動的にポイントを作成できる。ブロック名の変更も容易だ。
R2018bには新しい2つのツールボックスが含まれる。「5G Toolbox」は5G通信システムの物理層シミュレーション、解析、テストが可能だ。標準ベースの規格に準拠し、エントリーエンジンのシームレスに必要なコンポーネントを全て用意。「Sensor Fusion and Tracking Toolbox」は、車載などのセンサーフュージョンや分析アルゴリズムを作成できる。
さらにR2018bでは、複雑なネットワーク設計を支援する「Deep Network Designer」アプリケーションや、一行のコードでアクセス可能な参照モデルのセットも提供する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- いまさら聞けない モデルベース開発入門
あなたは人に「モデルベース開発」を正しく説明できるだろうか? プロセス改善手法の1つであるモデルベース開発の概念や特徴について解説 - モデルベース開発環境の最新版、予知保全アルゴリズムの設計が容易に
MathWorksは、数値計算ソフトウェア製品ファミリーの「MATLAB」「Simulink」にさまざまな新機能を追加した「Release 2018a」を発表した。予知保全アルゴリズムの設計やテストを実施するToolboxなど、94製品が含まれている。 - MATLAB/Simulinkが深層学習機能を強化、画像認識速度はTensorFlowの最大7倍に
MathWorks Japanがモデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」の最新バージョン「R2017b」で強化したディープラーニング(深層学習)関連の機能について説明。「MATLAB/Simulinkが得意としてきた制御系や信号処理系の技術にディープラーニングを組み合わせることでさまざまな価値が生まれる」(MathWorks フェローのジム・タン氏)という。 - MATLABに自動運転向け画像認識アルゴリズム、映像へのラベル付けなど効率化
MathWorks Japanは、モデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」の最新バージョン「R2017a」を発表した。製品ラインアップには、自動運転システムや先進運転支援システム(ADAS)に向けた新製品「Automated Driving System Toolbox」を追加した。同梱したさまざまな画像認識アルゴリズムで開発を支援する。 - MATLABがIoTとITシステムの“共通言語”に、無償のオープンデータ基盤も用意
MathWorksは、モデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」の最新バージョン「R2016b」などで強化したビッグデータ処理機能について説明。「MATLABという共通言語によって、IoTとなる組み込み機器と、バックエンドインフラのITシステムのワークフローを統合できる」(同社)という。 - 「3つのテーマ」で強化された「MATLAB/Simulink 2016a」
MathWorks Japanがモデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」の最新版「Release 2016a」を発表した。新ツールの搭載などで「シンプル」「完全」「高速」を推進している。