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BLE 5.0で通信距離600mを実現する小型SoC、部品点数も半減:組み込み開発ニュース
東芝と東芝デバイス&ストレージは、600mの長距離通信と通信モジュールの小型化を両立したBLE Ver.5.0規格準拠のSoCを開発した。リンクバジェットは113dB。部品数は同水準の通信距離を持つSoCの約半分にできる。
東芝と東芝デバイス&ストレージは2018年9月7日、600mの長距離通信と通信モジュールの小型化を両立したBluetooth low energy(BLE)Ver.5.0規格準拠のSoC(System on Chip)を開発し、同月から量産出荷を開始すると発表した。リンクバジェット(送信電力と受信感度の差)は113dB。部品数は同水準の通信距離を持つSoCの約半分にできる。
BLEは低消費電力の無線通信規格で、新規格BLE Ver.5.0でさらに通信距離を拡大する。対応するSoCは送信電力を増やす必要があり、送信機の電源電圧を上げるか、負荷インピーダンスを下げることになる。しかし、電圧を上げると部品が増えてモジュールが大型化し、負荷インピーダンスを下げると電力が送信機側に流れて通信距離が伸びない。
そこで両社は、通信距離とモジュールサイズが両立できる送受信インピーダンス整合技術を開発。受信機側にトランスを用いたインピーダンス整合回路を使用し、雑音除去フィルターを追加した。インダクターを用いた回路に比べて損失が減り、受信感度が向上した。トランスの利用による送受信機全体の面積増加も1%程度だ。
ドローンや忘れ物タグなど、Bluetoothを利用した長距離通信可能な小型モジュールの普及に貢献する。
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