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日本発のユニコーンは生まれるのか、支援する政府の取り組み(前編)モノづくり最前線レポート(1/2 ページ)

イノベーションジャパン(大学見本市&マッチングフェア、2018年8月30〜31日、東京ビッグサイト)のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)セミナーでスタートアップに関連した4つの講演が行われた。本稿では前編で経済産業省 経済産業政策局 新規事業創造推進室 室長補佐の原大樹氏と、日本貿易振興機構(JETRO)知的財産・イノベーション部イノベーション促進課長の奈良弘之氏の講演内容を紹介する。

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 イノベーションジャパン(大学見本市&マッチングフェア、2018年8月30〜31日、東京ビッグサイト)のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)セミナーでスタートアップに関連した4つの講演が行われた。

 現在、政府では「企業価値または時価総額が10億ドル以上となる、未上場ベンチャー企業(ユニコーン)や、上場ベンチャー企業を2023年までに20社創出」という目標を検討しており、セミナーでは、この目標に向けた経済産業省や日本貿易振興機構(JETRO)などの取り組みや海外のスタートアップの現状を紹介した。

 本稿では前編で経済産業省 経済産業政策局 新規事業創造推進室 室長補佐の原大樹氏と、日本貿易振興機構(JETRO)知的財産・イノベーション部 イノベーション促進課長の奈良弘之氏の講演内容を紹介する。

スタートアップを集中支援する「J-Startup」

 セミナーでは、まず経済産業省の原氏が「日本のスタートアップに次の成長を。世界に次の革新を〜J-Startup事業のご紹介〜」をテーマに、2018年6月にプログラムをスタートした「J-Startup事業」について説明した。

 「J-Startup」とは、革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供できる企業の育成を目指し、日本で有望と思われるスタートアップを官民挙げて集中支援する取り組みである。その企業を成長させるとともに、日本のスタートアップ全体を引き上げていくという狙いもある。

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経済産業省 経済産業政策局 新規事業創造推進室室長補佐の原大樹氏

 日本では約1万社のスタートアップが、日々新しい挑戦を行っている。しかし、グローバルで活躍する企業は現状ではその一部にとどまっている。世界で戦って勝てる企業を作り、新しい革新を提供することを目指して、J-Startup事業は「スタートアップへの取り組みを一時のブームに終わらせずにカルチャーを根付かせることを最終的な目的としている」(原氏)とする。

 具体的にはトップ層を引き上げるとともに「ロールモデルの創出」「日本におけるスタートアップのプレゼンスの向上」「スタートアップ支援にかかる連携体制の強化」「サポーターの拡大」を進め、日本のスタートアップエコシステムのさらなる強化を進める。

「Select」「Connect」「Go Global」

 事業は、1万社の中から、特に活躍が見られる92社をまず選定(Select)。さらに、選定した企業と大企業、ベンチャーキャピタル、アクセラレーター、政府機関とつながる(Connect)ことで、より成長し、日本代表としてグローバルに進出する(Go Global)というのが、政府が描く全体の流れである。

 政府による集中支援対象に選定されれば、J-Startupのロゴの使用(選定企業としてのブランディング)、特設Webサイト、国内外メディアによるPR、大臣など政府の海外ミッションへの参加、国内がイベントへの出展支援、ビジネスマッチング、規制のサンドボックスの積極活用などが受けられる。

 また、大企業、ベンチャーキャピタルなどにより構成される「J-Startup Supporters」による、事業スペースの提供、料金優遇などの支援もある。その他、ロボット、製品や部品の提供や、インフラ網などを使った実証試験への協力、専門家やノウハウを持つ人材によるアドバイスなどの支援も用意する。グローバル進出をサポートする「J-Startupツアー」なども実施。海外の展示会への出展を支援している。

 さらに「JETROグローバルアクセラレーション・ハブ」では、現地に設置した拠点が海外進出するスタートアップ企業に対し、現地の情報などを提供する。この他、国の認定を受けた自治体で海外の起業家の在留資格要件を緩和するなどの制度「Startup ビザ」を用意するなど、手厚い支援を用意していることをアピールした。

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