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中小製造業のIT導入による労働生産性向上と見えてきた課題:2018年版中小企業白書を読み解く(2)(2/5 ページ)
中小企業の現状を示す「2018年版中小企業白書」が公開された。本連載では「中小製造業の生産性革命は、深刻化する人手不足の突破口になり得るか」をテーマとし、中小製造業の労働生産性向上に向けた取り組みを3回に分けて紹介する。第2回は中小製造業におけるIT利活用による労働生産性の向上について取り上げる。
中小製造業はIT導入に対し「ある程度の効果を得られている」
企業全体でのIT導入の総合評価を見てみると、「ITを導入しある程度の効果を得られている」と回答した企業が最も多く、全体の約半数を占める(図5)。中小企業白書2018ではこの層を中心にして、「ITを導入し期待した効果を得られている」企業をトップ層、「ITを導入しある程度の効果を得られている」企業をミドル層、これら以外をボトム層と定め、この3類型を用いて分析を行っている。
トップ層やミドル層がどういった企業群に多いのかを業種別に見ると、トップ層の比率はやや卸売業・小売業が多いものの、業種による差はほぼ認められない(図6)。一方で、ミドル層の比率は、卸売業・小売業、情報通信業、製造業が高く、サービス業、建設業、運輸業は相対的に低い。
また従業員の規模別に見た場合には、トップ層の比率は従業員規模による差が認められなかったが、ミドル層の比率は、従業員規模が大きいほど高くなっている(図7)。
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