パナソニックがトイレに採用したオゾン水、汚れを抑えるメカニズムとは:研究開発の最前線(1/2 ページ)
パナソニック アプライアンス社は、同社が開発したオゾン水生成技術について説明。2018年4月に発表した全自動トイレ「アラウーノ」の最新モデルに採用しており、今後も水回りを中心に適用製品を広げていく考えだ。
パナソニック アプライアンス社は2018年8月3日、東京都内で会見を開き、同社が開発したオゾン水生成技術について説明した。同年4月に発表した全自動トイレ「アラウーノ」の最新モデルに採用しており、今後も水回りを中心に適用製品を広げていく考えだ。
3つの酸素原子から成るオゾン(O3)は、1つの分子ではあるものの、2つの酸素原子から成る酸素(O2)とは異なる特徴を持つ。漂白剤に用いられる塩素や、消毒液に用いられる過酸化水素を上回る強力な酸化作用を有しているのだ。また、オゾンによる酸化反応の後、オゾンから生成されるのは無害な酸素であるため、残留性がないことも特徴になる。
常温で気体のオゾンは、不安定なこともあって扱いやすいとはいえない。しかし、オゾンを水に溶解したオゾン水であれば扱いやすく、浄水場や下水処理場における水中の有機物の分解、半導体工場で製造されるウエハーに残る汚染物質の分解、野菜に付着した農薬の分解などに用いられている。オゾン水の濃度も、1ppm(水1l(リットル)当たりオゾン1mg)程度で十分な効果を発揮できるといわれている。
ただし、これらの施設や工場でのオゾン水の生成方法は、放電で空気から生成したオゾンを水に溶かすガス溶解方式が用いられている。パナソニック アプライアンス社 技術本部 ホームアプライアンス開発センター 所長の本橋良氏は「オゾン水の強力な酸化作用による、除菌、防カビ、脱臭効果を、当社の水廻りの製品などに適用することで、より安心・快適な生活環境を提供できるようになる。しかし、小型化が困難なガス溶解方式は家電などに適用するのは難しい。そこで、小型化が可能な、水を電気分解して直接オゾン水を作る電解方式を基にしたオゾン生成デバイスを開発することにした」と語る。
アラウーノに採用したオゾン生成デバイス「オゾンウオーターデバイス」は、陰極、イオン交換膜、ダイヤモンド電極を用いた陽極、給電板というシンプルな構成で、効率よくオゾン水を生成できる。陰極に採用した「斜めスリット構造」によって、生成したオゾンを水に効率よく溶かすことが可能だ。デバイスの外形寸法は、153×22×32mmと手のひらサイズで、さまざまな水廻りの商品に組み込みやすいという。
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