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カギは“開製販”の一体化、パナソニック自転車工場が実現する革新と柔軟性メイドインジャパンの現場力(19)(2/3 ページ)

「モノ」が「モノ」だけで価値が発揮しにくい時代になる中で、どのような考え方でモノづくりを追求していくべきなのか。パナソニックの自転車製造工場「パナソニック サイクルテック柏原工場」の取り組みを紹介する。

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パナソニック サイクルテック柏原工場の柔軟な製造技術

 パナソニックサイクルテック柏原工場は大阪府柏原市に立地し、敷地面積は2万1200m2、生産スペースの総床面積は1万460m2となっている。同工場の特徴が、開発から製造、販売まで一貫して対応する「開製販」一体体制となっているところである。これらを一体化して取り組む体制があるからこそ、先述した新市場創出への取り組みや、匠の技による受注生産が可能となっているのである。

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パナソニックサイクルテック柏原工場の外観(クリックで拡大)

 同工場の生産技術について詳しく見ていこう。柏原工場で行う、電動アシスト自転車の製造工程は基本的には次の5つで構成されている。「フレーム製造」「塗装」「自転車組み立て」「駆動ユニット生産」「梱包、出荷」である。

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自転車の製造工程(クリックで拡大)出典:パナソニック

 自転車の製造においてポイントは、主に「金属パイプをどのように加工するか」ということに尽きる。その中で製造品質に大きな影響を与えるのが溶接技術である。

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フレーム製造工程で並べられた材料となる金属パイプ(クリックで拡大)

 自転車の製造では主に3つの溶接技術を活用している。1つ目が部品と部品の間にロウ材を流し込み内側から接合する「ロウ付け溶接(ガス溶接)」である。2つ目が溶接棒を電極として熱を発生させ、鉄を溶かして接合する「MAG溶接(電気溶接)」だ。そして3つ目がチタンフレームの溶接に特化した技術だが、タングステンを電極とする熱を発生させ、チタンの溶接棒を溶かして接合する「TIG溶接(電気溶接)」である。これらの3つの溶接工法を適切に生かして活用していく必要がある。

 現状ではロウ付け溶接については人手で行っているが、MAG溶接はロボットによる自動化を実現しているという。

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ロウ付け溶接の作業の様子(クリックで拡大)

 溶接の結果については、自転車の耐久度に大きく影響するために、徹底した検査を行う。検査は資格を持つ認定担当者が行い、全数検査を行っている。

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フレーム製造後の検査の様子。認定検査員が検査を行う。検査の役割については帽子で色分けしていた(クリックで拡大)

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