リコーが過去最大の赤字に……、転落の経緯と再起動に向けた策とは?:MONOist×JOBS 転職市場動向
米子会社の業績悪化で1800億円の減損損失を計上し、リコーは2017年度に1600億円の営業赤字に転落する見込みです。
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米子会社の業績悪化で1800億円の減損損失を計上し、リコーは2017年度に1600億円の営業赤字に転落する見込みです。ペーパーレス化で頭打ちとなっている複合機市場。関連事業で連結売上高の8割近くを稼ぐリコーは、市場低迷の影響をもろに受けています。
2017年度に営業損失1600億円 複合機市場の低迷が影響
決算日を目前に控えた18年3月23日、リコーは連結業績の大幅な見直しを発表しました。
従来200億円を予想していた営業利益は一転、1600億円の赤字に転落する見通し。リコーにとっては過去最大の赤字となります。要因は、米子会社などで発生する1800億円の減損損失。2008年に買収したアイコン社で1400億円、2014年に買収したマイクロソフト・テクノロジーズ社などで400億円の減損損失を計上する見通しです。
アイコン社は米国の複合機事業を強化するために買収したものの、ペーパーレス化の進行で頭打ちとなった複合機市場で勢いを見せられず、業績が悪化しました。
2017年の国内主要メーカーの複写機・複合機出荷額は前年度比1.6%減の8996億円。リーマンショック後の09年(7594億円)からは回復しているものの、10年前の07年度と比べると1割以上は減少。ここ数年は9000億円前後で横ばいの状態が続いています。
収益力悪化 営業損益率は10年前の半分にも届かず
リコーは、複合機・コピー機の出荷台数で世界トップのメーカー。複合機関連事業で連結売上高の8割近くを稼いでいるだけに、複合機市場の低迷は業績に直撃します。
市場競争の激化や、複合機の販売価格低下の影響を受けて収益は悪化しており、直近10年間の営業損益率は2007年度の8.2%をピークに低迷。1600億円の営業損失が見込まれている2018年度はマイナス7.8%にまで落ち込む見込みです。
キヤノン、富士フイルムHD……他の事業を柱に
市場の低迷を受け、複合機を主力としていた各社は他の事業を育てて複合機依存からの脱却を図ってきました。
10年前の2007年度に売り上げの66%を複合機関連事業で稼いでいたキヤノンは、医療関連事業の強化に注力。2016年には東芝メディカルシステムズ(現社名はキヤノンメディカル)を買収し、事業拡大を加速させました。
2017年度は医療関連事業の売上高が4362億円にのぼり、連結売上高に占める複合機関連事業の売り上げは45%に縮小しています。
2018年1月、ゼロックスの買収を発表した富士フイルムホールディングスも、医療関連事業に力を入れています。2016年には武田薬品工業の試薬子会社の和光純薬工業(現社名は富士フイルム和光純薬)を買収。
2007年度は医療関連事業の売り上げが2900億円ほどでしたが、2017年度は約1.5倍の4450億円となる見通しです。2018年3月には再生医療を手掛ける2社の買収も発表しており、再生医療を中心に、医療関連事業の拡大を急ぎます。
リコーは複合機周辺が主軸 構造改革で利益重視に転換
他社が他の事業に手を広げていくなか、リコーは複合機関連とその周辺事業に力を入れる方針を変えません。
2017〜2019年度の中期経営計画では、リコーが強みとするプリント技術やオフィス顧客基盤を生かし、印刷業や工場向けのプリント事業と、複合機でスキャンしたデータをクラウド化するなどのサービス事業を注力事業に設定。2019年度までに2000億円のM&Aを行い、事業規模を拡大させる方針です。
リコーはこれまで、複合機のシェア拡大やフルラインアップなど「規模」を重視する戦略をとってきましたが、市場が低迷するなか、利益重視の姿勢に転換させました。2017年度には、生産拠点の統廃合や人員削減を相次いで実施。2017年度は第3四半期までに、5400人の人員を削減しました。構造改革により、2019年度までに1000億円のコストを削減する計画です。
複合機市場の低迷を受けて他社がほかの事業に乗り出す一方で、複合機と周辺事業に注力していく方針を変えないリコー。このやり方を貫くのか、他の事業に進出していくのか、今後の動向が注目されます。
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