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IoT時代の「日本品質」の構築は「見える化」と「紙をやめること」から始めようMONOist品質管理セミナー(2/3 ページ)

MONOistが開催した品質管理セミナー「品質管理を現場の“人”に押し付けないために何ができるのか〜IoT時代だからできる品質向上の実現手法〜」では、「日本品質」の構築を実現するために“人”の強みを踏まえつつ、IoTやAI、ロボティクスといった品質改善活動に貢献する新たな手法やツールについて紹介した。

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IoTの活用で品質向上を目指せ、「紙ベース管理で良品生産の維持は困難」

アムイ 代表取締役の山田浩貢氏
アムイ 代表取締役の山田浩貢氏

 特別講演では、「品質保証体制を強化するためのIoT活用〜良品条件の可視化手法〜」と題してアムイ 代表取締役の山田浩貢氏がIoTの最新技術を使った品質向上、強化への取り組みを「収集」「蓄積」「活用」の観点から具体的に紹介した。山田氏は、MONOistの人気連載「トヨタ生産方式で考えるIoT活用」の執筆者でもある。

 現在、自動車メーカーの品質検査不正問題、自動車部品メーカーのリコール問題など、日本の製造業でこれまであまり見られなかった出来事が相次いで発生し、企業ブランド力の低下が指摘されている。「こうした中で、大手企業を中心に品質向上強化への取り組みが始まっており、IoTの最新技術を使った品質向上を目指す施策に関心が高まってきている」(山田氏)という。

 品質保証の現状における検査上の課題としては、不良の混入に対して複数人によるダブルチェックで人手に頼る方法となっていることなどが上げられる。また、新製品立ち上げ時の課題としては、開発期間が短くなり、品質特性の基準を十分にクリアできない状態で量産工程に入るケースが多くみられるという。そのため、新製品の立ち上がり時期は不適合品の手直しや廃却によるロスへの対応でバタバタし、他部門の応援で乗り切ることも多い。さらに、現場管理資料「QC工程表」「作業要領書」「作業日報」「検査記録」が紙ベースで管理されており、現場に行かなければ状況が分からず、改訂管理も煩雑となっている。

 品質の継続保証における課題でも、製造ロットごとの製造条件の情報記録はほとんどなされていない。こうした状態でクレームが発生すると、製造ロットごとの製造条件や検査結果の記録が一部しか残っていないことが多いため、良品として製造されていたかの判断ができず、再検査や全回収になってしまう。

 こうした課題からみて山田氏は「人に頼って、紙を主体とした道具による管理では、現場の安定した良品生産の維持は困難となる」と指摘する。そして、これらを回避するための手段として、「IoTによる最新技術を取り入れて、できるだけ人にやさしい道具の活用により、安定した利用品生産が可能になる」と対応策を示した。

 この品質保証にあるべき姿としては、必要な情報(品質基準、検査実績、製造条件、ロットトレース情報)を一元管理し、リアルタイムかつ定量的な分析に基づき良品の製造条件の維持とクレーム発注時の対処の迅速化を図る、とする。

 データの収集については、目的に合わせ収集するデータ項目の洗い出し→データ収集のサイクルを定義→情報収集における7つのムダと2Sを考慮する、の手順で行う。この2Sは「整理」(不必要なものを取り除いたり混乱したりしたものを整える)「整頓」(整理をした後で必要なものを正しい位置に置く)であり、これにより、情報収集目的、サイクルに合わせて必要な項目を誰が見ても分かりやすく配置する。

 また、7つのムダは「つくりすぎのムダ」「在庫のムダ」「運搬のムダ」「手持ちのムダ」「不良のムダ」「運搬のムダ」「手持ちのムダ」「不良のムダ」「加工のもののムダ」「動作のムダ」であり、例えば「つくりすぎのムダ」「在庫のムダ」は目的のないデータを収集したり、必要以上に細かいデータをとったりすることで、膨大なデータ保管を行い、余分な管理をしないこととしている。

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