水蒸気蒸留が違いを生み出す、日本発の加熱式たばこ「Ploom TECH」:小寺信良が見た革新製品の舞台裏(10)(3/5 ページ)
加熱式たばこが人気である。通常の紙巻きたばこが、たばこの葉を「燃焼」させて煙を吸引するのに対し、加熱式たばこは発火点より低い温度で「加熱」するのが特徴だ。今回は、日本発の加熱式たばこ「Ploom TECH」の開発元であるJTに話を聞いた。
低温加熱と高温加熱の違い
―― あれ? たばこ葉を直接加熱するわけじゃない?
岩崎 Ploom TECHは、3つのパーツに分かれています。まず、一番下の「バッテリー」に「カートリッジ」を取り付けます。カートリッジの中にはリキッドが入っていまして、成分は水と食品添加物からできています。バッテリーでこのリキッドを加熱して蒸気を出し、たばこ葉が詰まった「たばこカプセル」を通して吸うわけです。この原理ですと、直接たばこ葉を加熱もしないし燃やさない。
―― 専用たばこをヒーター部に刺し込んで加熱するIQOSとは、構造が全然違うんですね。
岩崎 今回一番ご理解いただきたいポイントが、そこです。実はこれまで加熱式たばこでひとくくりにされてきたんですけれども、もはやカテゴリー分化が始まっているというところなんですね。
そのカテゴリーが何で分かれるかと言いますと、たばこ葉の加熱温度です。高温加熱方式では240℃から350℃で加熱するので、その分一定のたばこの吸いごたえはあるんですけど、同時に特有の匂いが出やすい。一方われわれのPloom TECHのような低温加熱方式ですと、たばこカプセルを通過するときの蒸気の温度は約30℃ですので、温度が全然違います。
―― それによってどんな違いが出るんでしょうか。
岩崎 まず臭いが大幅に抑制されます。それから味わいに関しましても、燃やしたり高温加熱したりしないので、すごくすっきりとした雑味のない味わいが楽しめます。
現在われわれは、紙巻きたばこと同じレギュラーとメンソールに加えて、フレーバーラインというのを展開しておりまして、カフェモカ、ベリーミント、アップルミントの3種類を展開しています。雑味がないので、これらのフルーティーな味わいやフレーバーが非常に立ちやすいという特徴があります。
―― そうなると、吸い方も変わりますね?
岩崎 高温加熱ですと、最初に加熱時間が20〜40秒必要になります。一方、低温加熱の場合は加熱時間がゼロですので、スイッチも何もなく、ただ吸うだけです。
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