AIで実現するパナソニックの「ヨコパナ」、1000人のAI人材確保も着実に進む:人工知能ニュース(1/2 ページ)
パナソニックがAI活用戦略について説明。AI開発の方向性「E3(イーキューブ)-AI」や、3+1の注力分野、AI相談の社内向けワンストップサービス「DAICC(ダイク)サービス」などについて紹介した。かねて発信している、2020年度までのAI人材1000人の確保に向けた取り組みも着実に進めているという。
パナソニックは2018年6月22日、東京都内で会見を開き、同社のAI(人工知能)活用戦略について説明。AI開発の方向性「E3(イーキューブ)-AI」や、3+1の注力分野、AI相談の社内向けワンストップサービス「DAICC(ダイク)サービス」などについて紹介した。かねて発信している、2020年度までのAI人材1000人の確保に向けた取り組みも着実に進めているという。
会見に登壇したのはパナソニック ビジネスイノベーション本部 AIソリューションセンター 所長の九津見洋氏である。九津見氏は、旧AVCネットワークス社やオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社でソフトウェア開発を担当した後、2017年4月のAIソリューションセンターの発足時から所長を務めている。「ビジネスイノベーション本部の中で、事業開発センターはある程度ビジネスモデルが出来上がったものをさらに大きくする『1を100にする』役割を担っている。これに対してAIソリューションセンターは、まだ事業がないところから新しいビジネスを作っていく、『0から1』を作り出すことが求められている。加えて、AIの技術職能集団ということもあり、全社的にさまざまなAI技術で貢献する役割もある」(同氏)。
パナソニックのビジネスイノベーション本部を率いる同本部長の馬場渉氏は、折に触れて、従来型の組織体系である「タテパナ」と、新しい価値を生み出すための横連携を進める「ヨコパナ」が同社の成長の鍵になると述べている※)。この「ヨコパナ」を実現するには「テクノロジー」「カルチャー」「デザイン」が必要であり、「テクノロジー」に属しているのがAIだ。
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九津見氏は「サイバーフィジカルシステムの中で、サイバーをAIとすると、フィジカルはタテパナに代表されるこれまでのパナソニックの実直なモノづくりになるだろう。これら2つを掛け合わせたサイバーフィジカル時代において、パナソニックはリアルに強みを持つIoT(モノのインターネット)カンパニーとなり『ヨコパナ』を実現していきたい」と語る。
AIはドメイン知識を持つ人が使い分ける道具
一般的にAI技術は、「コンピュート(Compute)」「アルゴリズム(Algorithms)」「ユニークデータ(Unique Data)」「ドメイン知識(Domain Expertise)」という4つの要素から構成されている。パナソニックは、これらのうち「コンピュート」と「アルゴリズム」について、「急速にコモディティ化が進んでいることもあり、自社で開発するのではなく、外部の最新技術を活用していく」(九津見氏)方針である。
一方、「ユニークデータ」「ドメイン知識」については、「タテパナ」に代表されるフィジカルの企業であるからこそ有している多くのデータと幅広い専門知識を活用できるとしている。実際に「ユニークデータ」については、同社のさまざまな製品からデータを集める「Panasonic Digital Platform」という仕組みがあり、既に稼働している。
そして「ドメイン知識」は、パナソニックのAI技術で最も重要な要素となる。九津見氏は「ドメイン知識を持つ人が、最適なソリューションを導き出すために使い分ける道具になるのがAIだ」と説明する。
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