「フィジカルとデジタルの融合」に「人」が加わり、IoTとARは真価を発揮する:LiveWorx 2018(3/3 ページ)
PTCの年次テクノロジーカンファレンス「LiveWorx 2018」の基調講演に同社 社長兼CEOのジェームズ・E・ヘプルマン氏が登壇。ヘプルマン氏は、デジタル変革に向けて必要としてきた「フィジカルとデジタルの融合」に「人」が加わることで、より大きな力を生み出せると強調した。
PTCにとってロックウェルは「兄貴分的存在」
基調講演の最後には、人との関わりが深く、IoTやARの活用が大きなビジネスとして拡大しつつある工場のスマート化を進めるための「兄貴分的存在」(へプルマン氏)であるロックウェル・オートメーションとの協業について説明するため、同社 会長兼CEOのブレイク・モレット(Blake Moret)氏を呼び込んだ。
2018年6月11日に発表したPTCとロックウェルの協業では、PTCのThingWorxとロックウェルのMES(製造実行システム)「FactoryTalk MES」などを組み合わせて展開する方針。さらに、ロックウェルがPTCに10億米ドル(約1100億円)を出資し、モレット氏はPTCの取締役に就任する予定である※)。
※)関連記事:ロックウェルがPTCに10億ドル出資、「ThingWorx」と「FactoryTalk」を結合へ
PTCはIoTやARの工場現場への展開で評価を得てきたが、現時点での営業展開力には限りがある。これに対してロックウェルは、約3万5000社の顧客にオートメーション機器や表示機を納入し、約80カ国に約2万2000人の従業員がおり、工場への営業展開力という意味でははるかに大きな力を持っている。「両社は工場のスマート化について同じ視点を持っており、ThingWorxとFactoryTalkを組み合わせれば、予定外のダウンタイムを防ぐなどのさまざまな顧客の要求に応えられる」(モレット氏)という。
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