個人で立ち上げたIoTの非営利団体「OSIoT」の成れの果て:IoT観測所(45)(2/3 ページ)
本連載「IoT観測所」では、基本的にアクティブというか、いろいろと普及させようと努力している規格だったり団体だったりを紹介してきた。今回はちょっと毛色を変えて、事実上休眠状態に陥っているものを取り上げよう。
IoT版DNSとなるセマンティックゲートウェイは画期的だったが……
さてOSIoTがちょっと画期的というか、頑張ったと思うのは、このセマンティックゲートウェイを含むセマンティックリポジトリ(Semantic Repository)を、まるでIPネットワークにおけるDNS(Domain Name Server)のように、誰でもがすぐ使える様な形で提供するというアイデアの提唱である(図9)。もっとも、“Community based description aggregation”とか書いてあるあたり、仮にこれが実現したとしたらえらくもめそうな火種が埋め込まれている気もするのだが。
これらを利用することで、IoTの世界がどういう構造になるのか? というのが図10である。「Base Model」としてさまざまな「Concepts」があり、その上層に具体的なアプライアンスの種類が「Types of Things」として、さらにその上で具体的な製品がそれぞれのアプライアンスのTypeに対応する形で「Classes of Things」として定義されており、ここまでがリポジトリに登録されている。これが各家庭に入ると、まずClassis of ThingsからTypes of Thingsを逆引きでき、そこから対応するConceptsをさらに逆引きできることになる。これによって、各インスタンスがサポートする「Capability」や「Method」が分かるというわけだ。
図10 筆者は知らなかったのだが、海外ではKenwoodの冷蔵庫があるそうだ。日本のKenwoodとは関係ない、英国のKenwood Manufacturingの製造によるもので、現在はデロンギ社の傘下にあるとか(クリックで拡大)
そしてこれを使って、例えば温度センサーから温度を取得する(図11)といった操作が可能になるというわけだ。こうした、データモデルの標準化やデータの意味解釈の自動変換などのメカニズムを利用すると、デバイス(つまりインスタンス)の自動検出やネットワークへの追加/離脱といったメカニズムも簡単に実装できる、というのがデサイ博士の説明である。
図11 「TemperatureReading」というMethod(これを誰が発するか、という問題はまたあるのだが)に対応して40という結果が出てくるまでの過程。どうでもいいが、華氏/摂氏の切り分けとかもないあたり(MesurementCabability()にそれが入るのか、それとも国際単位系を使うから華氏はありえないという判断なのか、不明)、まだ拡張の余地はありそうだ(クリックで拡大)
同博士はさらに別のスライド※)で、その「Semantic Repository of Things」のサンプル提案も行っている(図12)。フロントエンドはセマンティックのグラフ検索をSPARQL(RDF用のクエリ言語)で行うとともに、グラフの入力ツールを構築しておき、一方バックエンドではPythonをベースにグラフDBを構築。これとThingsが通信するという構造である。
※)関連リンク:スライド「Semantic repository of things」
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