車載イーサネットが本格導入へ、伝送速度はCANの100倍以上:人とくるまのテクノロジー展2018(2/2 ページ)
自動車の電子化が進み、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術の開発が加速する中で、車載ネットワークの高速化も進みつつある。「人とくるまのテクノロジー展2018」では、現行のCANと比べて100倍以上の伝送速度を持つ車載イーサネット関連の展示が多数見られた。
伝送速度10Gbpsのデータリンクシステムも登場
東芝デバイス&ストレージは、同社の車載イーサネット対応ブリッジIC「TC9560」を用いた映像同期デモを披露した。
東芝デバイス&ストレージの「TC9560」を用いた映像同期デモ。左側にある送信元とその右側にある送信先は、車載イーサネットにより低遅延で映像表示が同期できている。右下の送信先は同期できていない(クリックで拡大)
TC9560は、プロセッサやモデム、スピーカーなどと車載イーサネットの物理層ICをつなぐためのブリッジICだ。さまざまなデバイスと接続できるように、PCI Express、HSIC、I2S/TDM、SPI/I2Cなどさまざまなインタフェースを搭載しており、MAC(Media Access Controller)も集積している。「初期の車載イーサネットの物理層ICはあまり選択肢がなかったが、その評価ボードに採用されたこともあって、組み合わせで用いられることも多い」(東芝デバイス&ストレージの説明員)。
ハイエンドの車載SoC(System on Chip)ではブリッジICの機能が集積されていることもあるが「車載SoCもミッドレンジからローエンドとなるとそこまでの機能をもっていないことも多い。TC9560の需要は今後も伸びるとみている」(同説明員)という。
タイコ エレクトロニクス ジャパンは、伝送速度10Gbpsの車載ネットワークを実現できるデータリンクシステムを展示した。
現在規格化されている車載イーサネットの伝送速度は、1000BASE-T1、1000BASE-RHCとも1Gbpsだ。100Mbpsの100BASE-T1については既に欧州の自動車メーカーなどに採用されているもの、1Gbpsの1000BASE-T1と1000BASE-RHCは量産車への採用もまだ始まっていない。
同社は「自動運転システムのAI(人工知能)ユニットや、4K/8Kの映像を取り扱うとなると10Gbps以上が求められる可能性もある」としており、2020年までの基本技術の確立を目指す。展示そのものはデータリンクシステムなので、プロトコルが車載イーサネットになるかは未定だが、1Gbpsの延長線上と考えるとその可能性は高そうだ。
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