遅延時間を10分の1に、割り込み可能な次世代車載イーサネットを実演:車載半導体
ルネサス エレクトロニクスは、プライベート展「Renesas DEVCON JAPAN 2017」において、イーサネットTSN(Time-Sensitive Networking)の割り込み処理のデモンストレーションを行った。車載ネットワークとしての国際標準化を狙っている。
ルネサス エレクトロニクスは、プライベート展「Renesas DEVCON JAPAN 2017」(2017年4月11日)において、イーサネットTSN(Time-Sensitive Networking)の割り込み処理のデモンストレーションを行った。車載ネットワークとしての国際標準化を狙っている。
カメラなどセンサーの検知結果を基に制御する自動運転システムや先進運転支援システム(ADAS)、車外と通信してさまざまな情報を受け取るコネクテッドカーには、画像の転送に強いイーサネットが必要になるという。そこで、走る・曲がる・止まるを制御するCAN通信とイーサネットの協調制御の重要性が増すとしている。
イーサネットTSNは、イーサネットAVBを拡張して最優先の処理を割り込めるようにした規格だ。展示ではCAN通信のデータを割り込ませて遅延なく処理する様子を実演した。遅延時間は通常のイーサネットが280μsなのに対し、イーサネットTSNは25μsと10分の1以下に短縮した。
デモンストレーションは、回転している円盤上のルネサス エレクトロニクスの企業ロゴを検知してストロボを発光させるというもの。ストロボに遅延がなければ円盤が回転せず止まっているように見える。
この時、企業ロゴの検知結果の送信からストロボの発光までをCAN通信で、競合トラフィックとなるデータとしてビデオカメラで撮影中の映像を転送させた。通常のイーサネットでは映像の転送を同時に行うため遅延が発生し、ストロボのタイミングがずれるため企業ロゴがブレて見えた。
ルネサス エレクトロニクスでは、国際標準化に向けて、イーサネットTSNのIP(知的財産)を開発中だ。また、2016年には、イーサネットTSNの接続性仕様の正規認証機関である米国ニューハンプシャー大学 相互接続性研究所(Interoperability Laboratory)が実施した接続性試験において、割り込み処理の規格順守性と相互接続性を実証した。この実証は「世界初」(同社)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- イーサネットが引き起こす車載LAN規格の地殻変動
- コンチネンタルが車載イーサネットのデモを披露、PoEによる電力供給も視野に
ブロードコムジャパンの「ESEC2012」ブースで、ドイツの大手ティア1サプライヤコンチネンタルが車載イーサネットのデモシステムを披露した。同システムでは、データ伝送と電力伝送を同時に行うPoE(Power over Ethernet)も活用されている。 - STマイクロがMWCでコネクテッドカーの無線アップデート、イーサネット対応
STマイクロエレクトロニクスとコネクテッドカーサービスを手掛けるAirbiquityは、モバイル機器の展示会「Mobile World Congress 2017」において、自動車向けの無線ネットワークによるアップデートのデモンストレーションを実施した。 - 自動運転車内におけるイーサネットのデータ伝送をプログラマブルSoCで実現
Altera(アルテラ)は、同社のプログラマブルSoC「Cyclone SoC FPGA」が、Audi(アウディ)が開発中の量産車向け先進運転支援システム(ADAS)に採用されたと発表した。 - 車載イーサネットにリング型トポロジーを採用、デンソー「冗長性高められる」
デンソーは、車載イーサネットのカンファレンス「2015 IEEE-SA Ethernet&IP@Automotive Technology Day」の展示ブースで、車載イーサネットのコンセプト展示を行った。リング型トポロジーにより冗長性を高めたことが特徴だ。