脳と脊髄はどうつながっている? 運動の「神経地図」を解明:医療技術ニュース
新潟大学は、脳と脊髄を結ぶ皮質脊髄路の中に、多様な神経回路が存在することを発見した。また、それらが運動動作をコントロールする「神経地図」としての働きを示すことを明らかにした。
新潟大学は2018年5月2日、脳と脊髄を結ぶ皮質脊髄路の中に、多様な神経回路が存在することを発見したと発表した。また、それらが運動動作をコントロールする「神経地図」としての働きを示すことを明らかにした。同研究は、同大学脳研究所 特任教授の上野将紀氏らが、シンシナティ小児病院と共同で実施した。
運動機能を制御する新たな神経回路の存在を明らかにしたことで、脳卒中や脳脊髄の損傷など運動機能が障害される神経疾患において、どのような神経回路の再建が必要であるか、神経地図として示唆できる。今後は、リハビリテーションや神経回路の再生技術を用いて、今回見出された神経回路の再建手法を開発していくという。
研究グループは、げっ歯類であるマウスの皮質脊髄路をモデルに、遺伝子改変技術や神経トレーサー、電気生理学的解析、神経活動の制御技術、3次元行動解析など、神経回路を解析できる技術を活用して皮質脊髄路に存在する神経細胞の構成とその動作原理を探った。
その結果、皮質脊髄路の中には多様な接続を持った神経回路が内在し、回路ごとに大脳皮質や脊髄の中で存在する場所が異なっていることを発見した。神経回路はそれぞれ神経細胞と結ばれて特異的な遺伝子を発現し、運動や感覚回路との接続様式に相違が見られ、興奮性や抑制性の神経伝達物質の種類が異なっていた。
さらに、複雑な動作を行う際に、各神経回路が異なる運動機能の要素をコントロールしていることも発見。皮質脊髄路は単一の神経回路ではなく、別々の働きを持つ多様な神経回路が内在して統合的に働くことで、運動をコントロールしていることを解明した。
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