深部の微細構造を測定可能にする自動球面収差補正システム:医療機器ニュース
理化学研究所は、多光子励起レーザー走査型顕微鏡において、深部の微細構造を鮮明かつ定量的にイメージングする「自動球面収差補正システム(Deep-C)」を開発した。同システムにより、脳内の微細構造における形態や変化などの測定が可能になる。
理化学研究所は2018年5月7日、多光子励起レーザー走査型顕微鏡において、深部の微細構造を鮮明かつ定量的にイメージングする「自動球面収差補正システム(Deep-C)」を開発したと発表した。同研究所 脳神経科学研究センター理研CBS-オリンパス連携センター長の宮脇敦史氏らによる研究成果となる。
厚みがあり、屈折率が高い生体組織などの標本を光学顕微鏡で観察する際、焦点面にずれが生じ、観察像が不鮮明になる球面収差が起こる。顕微鏡の対物レンズには、球面収差を調整する補正環が備わっているが、これまでその位置を決める指標はなく、手動で再現可能かつ最適な位置を設定することは難しかった。
同研究グループは、補正環の回転を電動化し、顕微鏡の駆動機構と連動させることで焦点位置の変化を補償するデバイスと、補正環の最適な位置を計算するアルゴリズムから成る自動球面収差補正システムDeep-Cを開発した。Deep-Cをマウス生体脳イメージングに適用したところ、特に大脳皮質深部で光学的収差の少ない、より鮮明な画像を得られた。
同研究所と連携したオリンパスでは、同年1月にDeep-Cを搭載した「TruResolution対物レンズ」を発売している。Deep-Cにより、脳内の微細構造における形態や変化などの測定が可能になることから、今後、学習や記憶の神経基盤とされる神経棘(きょく)突起をより精密に計測するなど、同システムの応用が期待される。
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