エッジからクラウドまで、産業別で「価値を生むIoT」を訴えたマイクロソフト:ハノーバーメッセ2018(1/2 ページ)
マイクロソフトはハノーバーメッセ2018に出展し、エッジからクラウドまでハイブリッドで円滑にデータ連携を実現する価値を訴求。これらの価値を産業別に落とし込み、既に多くの価値を生んでいることを事例を通して示した。
マイクロソフトはハノーバーメッセ2018(2018年4月23〜27日、ドイツ・ハノーバーメッセ)に出展し、エッジからクラウドまでハイブリッドで円滑にデータ連携を実現する価値を訴求。これらの価値を産業別に落とし込み、既に多くの価値を生んでいることを事例を通して示した。
エッジデバイスのセキュリティを確保する「Azure Sphere」
マイクロソフトブースでは「Intelligent Manufacturing」「Create Intelligent Value Chains」「Connected field Service」「Monetize Connected Products」「Enhance Digital Factories」の5つのテーマでコーナーを用意。IoT(モノのインターネット)やインダストリー4.0による製造業のビジネスモデル変革において、製品がつながることでもたらされる新たな価値やビジネスモデル展開、デジタル化で進む工場の将来像、そもそもの「つながる技術」などについて紹介した。
つながる技術の1つとして注目を集めたのが2018年4月に発表されたばかりの「Azure Sphere」である。これは、IoTデバイスのセキュリティを確保する技術であり、ハードウェア、OS、通信技術の3つを組み合わせることで実現したものだ。対応のMCU(マイクロコントローラー)、Linuxベースの組み込みOSである「Azure Sphere OS」通信接続での安全性を確保する「Azure Sphere Security Service」で構成されている。
特徴となっているのがこの“三位一体”という点と、データの送り先として「Azure」でなくても良いという点だ。「Azure Sphere」そのものは、セキュリティを確保するためにマイクロソフトのクラウドサービスである「Azure」を利用するが、データの送り先については「Azure」でなくても問題ない。AWSなど他のクラウド環境にデータを収納することも可能だとしている。
IoTによるビジネスモデル変革の中ではセキュリティが大きな課題とされている。IoTセキュリティでは、オフィスセキュリティと異なり、可用性が最重視される他、セキュリティに利用できるコンピューティングリソースも小さく、メンテナンスの負担も多くはかけられない。実現するには自然な形でデバイスに組み込める形が理想だが、ハードウェアから組み込みOS、通信技術、クラウド技術まで一貫して展開するマイクソフトの総合力を示した形だ。
開発には家庭用ゲーム機「Xbox」のノウハウなども生きたという。日本マイクロソフト コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部 IoTデバイス本部 Azure担当部長の村林智氏は「数多くのデバイスのセキュリティ対応を同時にやることなどがXboxでは必要だった。こういう場合にどういう技術とし、どういう対応をすべきかという点などがマイクロソフトの中にはある。これらを活用することでセキュリティデバイスからクラウドまでのセキュリティを確保できる」と述べている。
既にパイロット実証も進んでいるという。電気自動車(EV)の充電装置での活用や水処理施設のポンプ、ヒーターなどに「Azure Sphere」対応デバイスを組み込み、製品化に向けた課題の洗い出しなどを進めているという。
日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 製造営業統括本部 インダストリーマーケティングマネージャーの鈴木靖隆氏は「IoTなどの取り組みは1社で実現できることではなく囲い込まずユーザーの利点から考えたソリューションとしなければならない。データについては各企業での戦略があるので選択できることが望ましい。一方でセキュリティについてはデータを送り込む仕組みを一貫して考える必要がある。その中でマイクロソフトの保有する技術が生きると考えた」と述べている。
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