サーボモーターのトルク波形を使って異常検知、AIと組み合わせて予知保全に:テクノフロンティア2018
安川電機は、「TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア2018)」において、サーボモーターから得た情報を用いた異常検知システムを展示した。同社が2017年10月に発表したスマート工場の新コンセプト「i3-Mechatronics」に向けて、サーボモーターを手掛けるモーションコントロール事業部としての取り組みを示したものだ。
安川電機は、「TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア2018)」(2018年4月18〜20日、幕張メッセ)において、サーボモーターから得た情報を用いた異常検知システムを展示した。同社が2017年10月に発表したスマート工場の新コンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」に向けて、サーボモーターを手掛けるモーションコントロール事業部としての取り組みを示したものだ。
サーボモーターで動作するベルトシステムを用いたデモ展示では、正常に動作しているサーボモーターのトルク波形から得た基準となる標本データが設定されている。この標本データに対して、動作しているサーボモーターのトルク波形との差異から統計学などで用いられている「マハラノビス距離」を導出する。さらにこのマハラノビス距離について、正常動作を示す閾値を「マハラノビス閾値」として設定。リアルタイムで得られるマハラノビス距離が、マハラノビス閾値から外れる回数が少なく、その回数も安定していれば動作は正常だ。
デモ展示では、アイドラを使って外乱を加えることにより、マハラノビス閾値から外れる回数が急増することを示した。「マハラノビス距離をリアルタイムでモニタリングすることにより、サーボモーターを用いたシステムの異常の兆候を検知できる」(安川電機の説明員)という。
なお、サーボモーターのトルク波形などの情報は「YASKAWACockpit」と呼ぶPCで収集/解析している。一般発売はしていないが、先行ユーザーによる評価を受けている段階だ。なお、YASKAWACockpitで収集/解析した情報をAI(人工知能)と組み合わせることで予知保全が可能になる。そのAIとなるのが、安川電機子会社のエイアイキューブ(AI3)が開発を進めている「Cube-IX」である※)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 安川電機は「アイキューブ メカトロニクス」で何を実現し、何を実現しないのか
IoT活用によるスマートファクトリーが大きな注目を見せる中、安川電機は2017年10月に一連の取り組みを再編成した「アイキューブ メカトロニクス」を発表した。全世界的に製造現場のスマート化が進む中で、安川電機が目指すものとは何なのだろうか。同社執行役員 CTOで技術部長の善家充彦氏に話を聞いた。 - 安川電機が描くスマートファクトリーの3つの役割と現在地
IoTやAIなどを活用した革新的工場であるスマートファクトリーへの関心が高まっている。大手生産財メーカーである安川電機は、埼玉県入間市に同社のスマート工場の理想像を具現化する新工場「ソリューションファクトリー」を建設する。同社が「ソリューションファクトリー」で目指すものは何か。また具体的にどういう取り組みを進めているのだろうか。 - 安川電機のスマート工場「アイキューブ メカトロニクス」が示す現実的価値
安川電機は「SCF2017/計測展2017 TOKYO」において新たに打ち出したスマート工場の新コンセプト「アイキューブ メカトロニクス」を体現するデモラインを披露。機器の遠隔監視とともに、ロボットとモーション制御を一体で行う効率性などをアピールした。 - ボールねじの不具合を未然に防ぐAI、データはサーボモーターのトルク波形だけ
安川電機子会社のエイアイキューブは、「第2回 AI・人工知能 EXPO」のクロスコンパスブースにおいて、サーボモーターを使ったセンサレス異常検知・状態監視ソリューションを披露した。 - 2Dカメラと単一グリッパーでAIピッキング、安川電機がデモを披露
安川電機は、「2017 国際ロボット展(iREX2017)」において、開発中のAIピッキング機能のデモンストレーションを行った。 - 外観検査や故障予知でのAI活用を加速、安川電機がAI子会社を設立
安川電機はAIソリューション開発を手掛ける子会社「エイアイキューブ」を新たに設立した。さらにAIベンチャークロスコンパスとの戦略的提携も行う。