ロボット普及の壁になっているのは何か、体験・教育施設を栃木に開設:FAニュース
FA プロダクツとオフィスFAコム、ロボコムは3社共同で、ロボットシステムとIoTを組み合わせた常設展示場「Smart Factory Conductor LABO」を栃木県小山市に開設する。ロボットの実装拡大とともに、ロボットインテグレーターの育成を目指す。
FA プロダクツと、オフィス エフエイ・コム(以下、オフィスFAコム)、ロボコムの3社は、共同で複数メーカーのロボットシステムとIoT(モノのインターネット)を組み合わせた常設展示場「Smart Factory Conductor LABO(略称:スマラボ)」を栃木県小山市に開設することを発表した。オープンは2018年5月16日。
国内のあらゆる産業において人手不足が深刻化する中、ロボットの活用による効率化に大きな注目が集まっている。しかし、ロボットは半完結品であり、ロボットだけを見ていても、実際の業務での活用のイメージを描くことは難しい。また、実際にロボット導入に携わるロボットインテグレーターの人材不足も深刻化しており、容易には導入できない状況が生まれている※)。
※)関連記事:ロボット活用拡大のボトルネック、ロボットインテグレーターの現実
こうした「ソリューション展示」と「ロボットインテグレーターの教育」の両面で活用する施設として新たに開設するのが「スマラボ」である。開設の狙いについてFA プロダクツ 代表取締役会長でロボコム 代表取締役社長 天野眞也氏は「ロボットの導入にはさまざまな技術者が必要となるがそれが不足している現実がある。また従来ロボット活用を行っていない業種などでは、導入すればどのような効果が得られるのかのイメージが得られないという課題がある。これらを解決する目的だ」と述べている。
スマラボは約300m2で、ソリューション展示としては、ロボットと画像センサー、搬送システムなどを組み合わせ、「食品」「物流」「IoT」「自動車および機械」を用意する。ロボットは安川電機、ファナック、ユニバーサルロボット、デンソーウェーブ、セイコーエプソン、日本電産シンポ、三菱電機、ライフロボティクス(ファナック)の8種類を用意する。また、データ共有基盤としてはシーメンスの「MindSphere」を活用しているという。
また、協賛企業として、電通国際情報サービス、日研トータルソーシング、日立システムズ、ミツイワが参加し、各種教育や提案活動などに利用するという。教育事業については、1年間で40〜60人のロボットインテグレーター育成を目指すとしている。
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