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大阪の姉妹都市メルボルンに見る地域発デジタルヘルスの展開海外医療技術トレンド(34)(1/3 ページ)

大阪市と1978年から姉妹都市提携を結んでいるオーストラリアのメルボルン市。両市の姉妹都市提携40周年事業の一環で開催された「メルボルン×大阪 ヘルスケア・イノベーション交流セミナー」の模様とともに、メルボルン市の先進的なデジタルヘルスの取り組みを紹介する。

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 本連載第31回で、オーストラリアのデジタルヘルス動向を取り上げたが、州/地域レベルで都市型イノベーションを推進しているのが、ビクトリア州メルボルンだ。

姉妹都市交流で大阪にやってきたメルボルンのデジタルヘルススタートアップ

 メルボルン市と大阪市は、1978年4月、姉妹都市提携を締結して以来、さまざまな分野で文化やビジネスの交流活動を展開してきた(関連情報)。両市の姉妹都市提携40周年事業の一環として、2018年3月22日、大阪イノベーションハブで、「メルボルン×大阪 ヘルスケア・イノベーション交流セミナー」が開催された(関連情報)。筆者もセミナーに参加したので、その時の模様と背景を簡単に紹介する。

 メルボルン市側のコーディネーター役は、メルボルン・ヘルス・アクセレレータ(MHx)(関連情報)のプログラムディレクターであるクリス・コマタス氏(米国ニューヨーク出身)が務めた。MHxは、2018年で創設170周年を迎える王立メルボルン病院(関連情報()内に、オーストラリア初の病院内蔵型アクセレレータとして開設された。医療・介護分野でイノベーションに挑む研究者と実臨床の専門家の協働を促進する橋渡し役として、以下のような点を特徴とするアクセレレータプログラムを提供している。

  • ヘルスケアの起業家に合わせたカリキュラム
  • MHxの共有ワークスペース内の専用デスク
  • 業界のベストプラクティスを代表するメンターおよびアドバイザーからの助言
  • ビクトリア州最大の医療ネットワークの1つへのアクセス

 MHxの創設パートナーには、ビクトリア州政府のほか、王立メルボルン病院の運営母体であるメルボルン・ヘルス、オーストラリアおよびニュージーランドの病院160箇所のネットワークであるヘルス・ラウンドテーブルが名を連ねており、実臨床に近い地域コミュニティー主導のヘルスケア産官学クラスタの中核機関としての役割を果たしている。MHxでは、従来の医薬品や医療機器に加えて、デジタルヘルス分野のスタートアップ支援を積極的に行っている。

 表1は、今回メルボルン市から来日したヘルスケアスタートアップ企業一覧である。

スタートアップ名 技術概要 参照URL
7 Airway Medical(王立メルボルン病院) 気道確保のためのAI技術 http://www.anaesthesia.mh.org.au/home/w1/i1001179/
RE:ME(王立メルボルン病院) 音楽セラピーによるデジタル精神医療 https://www.thermh.org.au/health-professionals/clinical-services/music-therapy
Geneseq Biosciences ゲノム技術を利用した早期悪性黒色腫診断 http://www.geneseq.com.au/
Medtasker 医療機関内のコミュニケーションとタスク管理アプリケーション https://medtasker.com/
SemaCare 手のひらサイズの生体モニター(米国FDA/欧州CEマーク認証取得済) http://www.semacare.com/
表1 「メルボルン×大阪 ヘルスケア・イノベーション交流セミナー」に参加したメルボルンのヘルスケアスタートアップ一覧 出典:大阪市「メルボルン×大阪 ヘルスケア・イノベーション交流セミナー」資料を基にヘルスケアクラウド研究会作成(2018年3月)

 これらのヘルスケアスタートアップに共通する特徴は、国・地域を越えて、多種多様なバックグラウンドを持つ臨床現場の専門家が立ち上げに関わっている点だ。人材のダイバーシティーが、イノベーション主導のまちづくりの源泉となっている。

 加えて、電子カルテシステムに代表される医療のデジタル化が早くから進んだオーストラリアでは、ICTを活用した業務プロセス分析/可視化を強みとして、新たな医療サービスモデルに必要な機器やソフトウェアの開発/応用を目指すスタートアップが目立つ。ハードウェア/モノづくりを起点とするヘルスケア分野のベンチャー企業が多い関西地域とは、相互補完関係にあると言えよう。

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