パナソニックに“出戻り”のCerevo岩佐氏、100年企業に与える「いい刺激」とは:モノづくり×ベンチャー インタビュー(2/3 ページ)
ハードウェアベンチャーの雄、Cerevo(セレボ)の代表取締役である岩佐琢磨氏が、2007年の同社創業前に勤めていたパナソニックに11年ぶりの“出戻り”を果たす。なぜパナソニックへの“出戻り”を決めたのか。そして、パナソニックで何をやろうとしているのか。同氏に聞いた。
Shiftallブランドで開発した製品を量販店やネット通販で売る
MONOist Cerevoという企業体を、Shiftallと新生Cerevoの2つに分割しました。両社の人員構成などはどうなっていますか。
岩佐氏 Shiftallの人員は、Cerevoの中で私から声を掛ける形で募った。従業員数は26人。ゼロの状態から、ハードウェアを開発、製造、販売していくので、それに必要な人員を集めた。機構設計、意匠設計、電気設計、組み込みソフト開発、アプリ/サーバ系ソフト開発、営業やサービスなどのフロントエンドに至るまでしっかりそろえている。
Cerevoには、既にもうかっていてこれからも売れる製品があるので、商品ブランドを残してしっかり事業を回していくことが必要だと考えた。そのための人員も残っているし、新たな代表取締役(青木和律氏が就任)のもとでしっかりやってくれるだろう(編注:Cerevoの会社概要によれば、2018年4月時点で従業員数は45人)。
MONOist パナソニック傘下のShiftallでは何をやっていきますか。
岩佐氏 パナソニックがShiftallに求めているのは、ユニークなIoT(モノのインターネット)製品を開発して売っていくことだ。コネクテッドでハイテクな家電製品を少量多品種で高速に開発していく。
Shiftallは小さな組織だが、開発だけでなく、製造、販売、サービスなどメーカーとしての機能を全てそろえている。Shiftallブランドで開発した製品を、量販店やネット通販などで販売し、顧客にしっかり見てもらえるようにする。
開発する領域を限定しているわけではないが、Shiftallのメンバーが所属していたCerevoが得意としていたのはデジタル小物系になる。(今取材に使っている)ボイスレコーダーくらいからテレビくらいまでの範囲になるだろうか。
MONOist IoT製品を開発していくということですが、パナソニックが得意とする白物家電などのIoT化は、その利便性がまだイメージしにくい状況です。
岩佐氏 IoT家電と呼ばれるものの利便性は、ユーザーが気付かないうちに使っているところにあるのかもしれない。
例えば、高齢の方々が交通系電子マネーのカードを使って改札を通る時に、その裏側で何が行われているかはほとんど意識していないがその利便性を享受している。IoT家電もそういった形で普及していくのではないか。
そのとき鍵になるのは“相互連携”だろう。IoT家電の間だけでなく、さまざまなモノの連携でどういった利便性を実現できるかが重要だ。
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