VWのEVセダンは「モデルS」に対抗、自動運転中は「HoloLens」で拡張現実:ジュネーブモーターショー2018
Volkswagen(VW)は、「ジュネーブモーターショー 2018」において、電気自動車(EV)のコンセプトセダン「I.D. VISION」を世界初公開した。
Volkswagen(VW)は、「ジュネーブモーターショー 2018」(プレスデー:2018年3月6〜7日、一般公開日:2018年3月8〜18日)において、電気自動車(EV)のコンセプトセダン「I.D. VISION」を世界初公開した。ステアリングやペダルのない、レベル5の自動運転車となる。バッテリー容量は111kWh、走行距離は最大で665kmだ。
EVのコンセプト「I.D.」シリーズの4車種目となる。車両サイズは全長5163×全幅1947×全高1506mmで、ホイールベースを3100mmとし、プレミアムクラスのセダンと位置付ける。同シリーズでは、これまでにコンパクトハッチバックタイプの「I.D.」、SUVタイプの「I.D. CROZZ」、バンタイプの「I.D. BUZZ」を披露した。
I.D. VISIONに搭載する電動四輪駆動システムや大容量バッテリーについて、VWは「近い将来」に製品化する方針だ。また、2025年に向けて、ドライバーの運転操作を必要としない自動運転システムに、2030年に向けては車内でのAR(拡張現実)技術活用に取り組んでいく方針だ。
ドライバーが一切運転しないセダン
I.D. VISIONの駆動システムは、2つの駆動用モーターとギアボックスを使用する。モーターはフロントが出力75kW、リアが出力150kWだ。容量111kWhのリチウムイオンバッテリーは車両のフロアに格納されている。また、従来のEVのようにコネクターを接続する充電だけでなく、非接触給電にも対応する。駆動システムや走行距離、車両サイズではTesla(テスラ)の「モデルS」と競合するといえそうだ。
I.D. VISIONは、ドライバーによる運転操作が不要な自動運転車としてインテリアも設計されている。車両への目的地の指示やコミュニケーションにはARを活用し、バーチャルに投影されたインタフェースから行う。HMI(ヒューマンマシンインタフェース)はスイッチなどを減らし、Microsoft(マイクロソフト)のヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」や、自然発話による音声操作によってシンプルに操作できるようにした。HoloLensは、移動中の仕事や子供向けのゲームや勉強にも使う。VWは今後10年でARが自動車で幅広く採用されると見込んでいる。
乗員の好みや感情を理解する学習機能を備えた人工知能「バーチャルアシスタント」も搭載している。シートの位置やエアコンの設定、音楽のリストまでニーズや好みを理解し、場面や状況に応じて自動的に設定。乗員の活動量計から得られる生体情報も車内の環境設定に利用する。顔認証やスマートフォンの認識機能によってユーザーIDを確認し、個々人に合わせて自動的に調整できる。
室内のデザインは、ドライバーによる運転操作が一切行われないことを前提にステアリングやダッシュボード、ペダル、運転席をなくし、ラウンジのようなオープンスペースとなっている。モードの選択によってウインドーガラスの濃度や照明を調節する他、アクティブノイズキャンセル機能によって周囲の雑音を遮断する。
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