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新型「aibo」が象徴する、「自由闊達にして愉快なる」ソニーマインドの復活小寺信良が見た革新製品の舞台裏(7)(2/6 ページ)

2018年1月11日からソニーストアで販売が開始された、ソニーのエンタテイメントロボット「aibo」。先代「AIBO」の製品開発終了から12年を経て復活したaiboだが、どのようにして開発が進められたのか。小寺信良氏が探る中で見えてきたのは、ソニーが取り戻しつつある、創業当時の「自由闊達にして愉快なる理想工場」の雰囲気だった。

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平井氏も加わってモチベーションが上がる開発現場

―― ソニーには「First Flight」というクラウドファンディング事業がありますよね。ソニーの中でもとんがったプロジェクトというのは、その中で企画段階から積極的に外に出して、マネタイズを始めて行くという方法論もあります。でもaiboはそうではなく、最初から本社の事業としてスタートしました。その点では、トップもやりたかったと。

矢部 それはそうだったと思います。「やりたいですか?」って聞き方はしないですが(一同笑)、こういうことができるっていう技術的な説明と、事業モデルの説明と、もちろん商品コンセプトを含めての説明をして、「これ面白いよね」と。

 定期的に進捗を報告しようとわれわれも決めて、平井の方からも定期的に報告をしてくれと。何なればもっと頻度高く聞きたいと。ただ、通常は平井のいるフロアの会議室に、ご報告に伺うというのが普通なんですね。

 しかしモノがこういうものですので、セットアップするのに会議の前30分から1時間かかるんですけれども、これが面倒くさい。それだけ現場のリソースを割きますし。

 これは松井も私もそうなんですけれども、平井とは「プレイステーション」の時代から関わりがあって、現場が大好きっていうのを知ってましたんで、「だったら開発でガヤガヤしてるところに来てもらった方がいいんじゃないのか」と言って、本当に来てもらうようにしたんですね。

 そうしたら本人も喜んで。自分で見たもの聞いたものから、「こんなことして欲しいんだよね」「それできる?」とか現場のエンジニアに直接言ったりして、プラスもいっぱいありました。エンジニア自身も直接話ができるので、モチベーションが上がる。平井って背も高いし声も大きいので「今日も楽しかったよ!ありがとう!」なんつって帰って行くと、みんな喜んじゃう。そういう雰囲気の良さっていうのが醸成できて、それが継続して繰り返されていったなと。

松井直哉氏(以下、松井) このパッケージもそうなんです。平井が現場に来ていろいろ言ってる中で、「まさかダンボール(箱)で届けないよね? なんなら一人一人届けに行きたいぐらいだよなぁ」と。まあそれはできないんですけれども、だったら「そこを工夫しよう」になるんですね。

 じゃあ包まれてる感じで行こうと。寝た形でお客さまのところに届くような形になっていて、最初の起動は起き上がりをイメージした動きになっています。

大きなまゆ状のパッケージに「aibo」が包まれている
大きなまゆ状のパッケージに「aibo」が包まれている(クリックで拡大)
電源を入れると、目覚める
電源を入れると、目覚める(クリックで拡大)

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