クラウドやIoTのモヤモヤは晴れ、インダストリー4.0の先を見る:3D設計推進者の眼(28)(3/3 ページ)
機械メーカーで3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回は、筆者が参加した「SOLIDWORKS World 2018」の1〜2日目の内容を紹介する。
【Day2】3DプリンタとIoTを活用する
2日目(Day2)は、3DプリンタやIoTをテーマにして、SOLIDWORKSの3つの新機能について紹介がありました。
「3DXpert for SOLIDWORKS」では、3Dプリンタの最適化設定が可能となりました。3Dプリンタメーカーの3Dシステムズが提供するシステムですが、他の3Dプリンタにも運用可能で、かつサブスクリプションユーザーは無償で使用できるというものです。
「Live Parts」は、3Dプリンタに適した最適部品形状を自動生成するというシミュレーション技術を持ち、ジェネレーティブデザインが出来るものです。これは金属3Dプリンタメーカーのデスクトップメタルが提供しています。これもサブスクリプションユーザー向けに、限られた期間で無償利用できるようです。
Webブラウザベースのツールである「Seebo」は、IoTシステムに使用するセンサー、データ接続、クラウドといった連携の設定をビジュアル化したGUIで定義できる仕組みでした。IoTによって何のデータを蓄積するのか、シミュレーションはするのか、ということができるようになったもので、パートナーのSeeboが提供します。これは無償ではありませんが、前回モヤモヤしていたIoTの件が進展しているように思えます。装置メーカーとして、このIoTというものに、注目せざるを得ないのかもしれません。
IoTによる仕組みは、私の携わる装置の要求仕様として求められたことはありませんが、装置の付加価値としては、また自社として故障予知や最適稼働仕様を求めるような工夫として必要なのかもしれないと感じています。余談ですが、今から5年くらい前、「装置のあらゆるところにスマートフォン用のカメラを取り付けて装置をモニタリングしてみたら」と言っていた人がいました。それがまさにIoTだったのではと、今になって思い起こされました。
さらに2日目は、サブスクリプションユーザー向けの特典としての3Dプリンタシステムの紹介によってSOLIDWORKSがこれらに取り組んでいる具体的な内容を聞くことができました。“今すぐ”のことではありません。1〜2日目でで聞いた内容は、ダッソーシステムズ・ソリッドワークスが考える直近の未来像ということになります。
仮にSOLIDWORKSという冠を外しても、3D CADから始まる未来像であることは明確であるように思えてなりません。ワクワクしませんか? これが欧米諸国だけの出来事になるのか、日本に導入されかつ中小企業にも展開されていくことなのかを、皆さんで議論できたらいいなと私は考えています。
ウチはどうする? 3Dプリンタ活用
展示会場でも多くの3Dプリンタメーカーの出展が行われていました。金属3Dプリンタも見られました。正直なことを言えば、個人的には3Dプリンタ関連の展示は「見飽きた」感じでした。
私の現場の場合、樹脂による3Dプリンタの造形物の活用目的そのものを見つけることができていません。樹脂製のものは機械に求められる強度に耐え得るものではありません。民生品やデザイン性を求めるものに適しているとしか考えていなかったからです。そこからさらに金属3Dプリンタとなれば、正直、その加工精度や剛性については未知ですし、装置が高額であることからも、目を向けることができていません。
導入先行ユーザーは、その活用方法をどんどん拡大しているのではないかと思います。未導入ユーザーと導入済みユーザーとの間には、大きな乖離が生じているのかもしれません。
3Dプリンタ活用に至っていない私の会社や、私の3D設計推進の展開を考えると、その活路を見いだすことが急務であるようにも思っています。
さて3日目(Day3)のお話ですが、SOLIDWORKS WORLD2018の総括的なお話しと、Technical SessionにおけるGD&T、公差設計のお話に絡めて次回へ続けたいと思います。お楽しみに。(次回に続く)
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