「個人で体験すれば、ビジネスでも使いたくなる」――AR/VRにおけるビジネス利用調査より:VRニュース(1/2 ページ)
IDC Japanは国内企業を対象にしたAR/VRにおけるビジネス利用に関する意向調査の結果を発表。「欧米と比較して、日本におけるAR/VRのビジネス利用状況は明らかに低調である」という結果が見えた一方で、普及へのヒントも見えた。
IDC Japan(以下、IDC)は2018年2月1日、国内企業を対象にしたAR/VRにおけるビジネス利用に関する意向調査の結果を発表した。併せて、世界と日本におけるAR/VRヘッドセット市場の現状と展望についても説明した。
なおIDCによるAR/VRデバイスの定義は以下である。
- Augmented Reality(AR)=デジタルコンテンツ、あるいはデジタルオブジェクトが個人の現実に見えているものに付加される
- Virtual Reality(VR)=個人が現実に見えているものは取り除かれ、個人(ユーザー)はデジタルコンテンツによって構築されるバーチャル環境に完全に没入する
AR/VRのヘッドセットにおける世界市場予測
AR/VRのヘッドセットにおける世界市場予測については、けん引するのは主としてVRヘッドセットであり、2021年には約4000台の市場を形成するとIDCでは見ている。2016年頃まではスマートフォンにヘッドセットを無料で付帯させるサービスが目立ったが、2017年に入ってからは日本以外の国で減少してきているという。ARについては、2019年頃には「ARに最適化された半導体が登場することで技術的なブレークスルーがあるだろうとIDCでは見ている」とIDCのPC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの菅原啓氏は述べた。2021年には約2000万台の世界市場を形成するとしている。
日本市場については世界に比べて規模は小さく、今後も伸び悩むと予想する。一方、日本におけるVR市場については、引き続きコンシューマー市場がけん引し、一定の成長を見せるだろうとしている。2017年の日本におけるVRの市場規模は世界に対し4.2%程度で、さらに2021年には0.4%程度にまで後退してしまうと予測する。
VRセットの出荷台数については、日本はコンシューマー市場が強いこともありクリスマス商戦の影響が顕著だ。日本ではケーブル型、世界市場ではスクリーンレス型と、主導するヘッドセットにタイプに違いが見られる。
ARヘッドセットの出荷台数については、VRと比較すると規模が小さい。日本はそれよりさらに小規模になる。今後はスクリーンレス型の市場はあまり伸びなくなり、2020〜2021年にかけてスタンドアロン型が大きく成長してくと見ている。日本についてもその傾向は同様であるとみられるが、2021年時点の予測台数が8万台に届くか届かないかのレベルであり、やはり成長性は懸念事項である。
AR/VRに関連するソフトウェアやPCなどの市場については、AR関連が大きく成長し、2021年までには1600億ドルまで伸びると見ている。日本についても「それなりには伸びるだろう」(菅原氏)とコメントしているが、著しくは伸びそうにないという。さらに地域別に市場の年間平均成長率を見ていくと、特にARにおいて日本が著しく低いことが分かる。
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