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正しい戦略を描けるマネージャーは部下のスキルを嘆かないあなたのマネジメント力で組織課題を解決(2)(1/2 ページ)

コンサルタントとして仕事の進め方や組織の改革提案を行ってきた筆者が語る“マネジメント力による課題解決”。今回はマネージャーの「仕事」についてお話しします。

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 第1回では新任・若手マネージャーの皆さんに向け、課長などの“初めての管理職”として任されるような役職こそが最も高レベルな課題解決のミッションを持ちうること、だからこそ勇気と自信を持ち、「論理的思考力」と「人間力」とともにチームのゴールに向けて進んでいってほしい、というメッセージをお届けしました。

 第2〜3回では“マネージャーの仕事”と、“マネージャーが陥りがちな罠(わな)”についてお話ししたいと思います。

マネージャーの仕事は“部下の育成”と妄信していませんか?

 マネージャーの仕事って何だと思いますか? 私は、大きく分けて3つあると考えています。

(1)目標達成のためのアクション策定
(2)後進の育成
(3)組織の雰囲気作り

 どれも当たり前だと思う方が多いかもしれません。しかし、意外とできていないのが実情です。分かっているのにできていないというよりは、捉え方に誤解がある、と言った方が正しいかもしれません。

 特に、マネージャーの仕事は「(2)後進の育成」と挙げた通り、“部下を育成すること”と考える人が多くいると思います。高い目標を前に、「部下のスキルが思うように追い付いてこない」「新人ばかりのチームで業績を上げるなんて無理だ」と嘆く方もいるかもしれません。

 ですが、“部下のスキルが低い”という悩みは、ないものねだりでしかないのです。もちろん、中長期的なミッションとして育成は確実に存在しますが、それにとらわれ過ぎて嘆いてばかりでは、課題解決はできません。戦略とトレーニングは別物です。

 野球の監督はリーグ優勝に向けて一選手のバッティングスキルをいちいち問題視したりしません。サッカーの監督が「小さなころからあんな環境でサッカーをしているブラジル人に、日本人が勝てるわけがない」と試合を放棄したりしません。彼らの仕事は勝つための戦略を描き、それに向けたアクションを策定することです。マネージャーの仕事として、メンバーのスキルのみに着目していては、課題解決はなかなか進みません。

 私の考える「育成」は、“メンバーに好影響を与えること”です。

 とある調査結果で、優れたマネージャーたちが自身の成長において効果があったものとして挙げたのが、「70%は経験 、20%は上司や周りの人からのフィードバックや観察、10%が研修や読書」でした。つまり経験が最も重要なのであり、マネージャーとして成長に影響を与えるのは2割。彼らへいい“フィードバック”を与えることが、後進の育成だと考えています。

 (3)に挙げた「組織の雰囲気作り」もその一部なので、実は上記の3点、MECEとしてはあまりきれいではありませんね(MECEについてはこちらの記事を参照ください)。

部の目標を割り算してチームのKPIに……それは戦略じゃない!

 と、少し話はそれましたが、となると、ミッションとしてやはり最も重視すべきは(1)に挙げた「目標達成のためのアクション策定」です。

 前回述べたように、欧米式にマネジメントを行う企業が増え、「KGI」や「KPI」に追われるマネージャーも多いと思います。全社の目標や方針が本部に落とされ、それが部に、そして課にブレイクダウンされますが、そうして“割り算”されたものを課のKGI・KPIに設定するのは間違っています。目標を達成するための阻害要因を見つけ、それを解消するためのアクションと、その進ちょくや成果を定点観測するための指標をKGIやKPIに設定することが必要です。

 これらの数値は単なる割り算で導き出されるものではないはずです。個々の課やチームにはそれぞれの役割や独自の個性があり、抱える課題も異なります。戦略やアクションはこれら独自の課題に対する試みであるべきで、全社目標の割り算で出てくるような一般的なものではありません。

 メンバーも違う、サービス提供対象も違う、そのような自分たちの置かれた環境やバリューチェーンに着目し、論理的思考力を用いて問題を特定し、その解決策を網羅的に導き出すことが重要なのです。

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