ヒューマノイドに再び脚光、コンビニ店員ロボも――iREX2017サービスロボットレポート:2017国際ロボット展レポート(2/5 ページ)
過去最大規模の開催となった「2017 国際ロボット展(iREX2017)」。本稿では、会場の4分の1ほどの面積を占めていたサービスロボットゾーンの展示を中心にレポートする。注目を集めていたのは、トヨタ自動車と川崎重工業が展示した新型のヒューマノイドロボットだ。
目指すのは転んでも壊れないタフさ
川崎重工業の「RHP(Robust Humanoid Platform)」は、身長175cm、体重80kg程度の等身大ヒューマノイドロボットである。目指したのは、等身大ロボットでありながら、転倒しても壊れないロバスト性の実現だ。同社のヒューマノイド開発はこれが初めてだが、50年の歴史を持つ産業用ロボットの技術を活かしたという。
通常、ロボットの関節には回転型モーターが使われることが多いが、RHPでは人間の筋肉のように伸縮する直動型モーターを採用しているのが構造上の特徴。中心の骨格の周りにモーターが配置されるので、もしモーターが故障したときでも修理が容易というメリットがあるそうだ。必要に応じて、追加もしやすい。
等身大ヒューマノイドには、人間と同じ道具を使い、人間と同じ環境で働けるというメリットがあるが、大きな課題となっていたのが壊れやすいこと。従来、研究室では天井から安全索で吊すなどして、転倒しないようにしていたが、移動範囲が制約され、自由に実験することが難しかった。
同社が開発したのは、そういった研究者からの要望に応えるためだという。発売日や価格は未定なものの、オープンプラットフォームとして提供することを考えており、さまざまな研究のベースマシンとして使って欲しいそうだ。
ブースのデモでは、ダンベルを持ち上げる運動でパワーをアピール。そしてあおむけに寝た状態から、四つん這いの移動、懸垂、手すり歩行といった一連の動作を見せ、運動性能の高さを紹介した。
また、現在は電動モーターが使われているのだが、将来的には、よりロバスト性を高めるために、油圧アクチュエータの採用も検討が進められている。同社の油圧アクチュエータは、タンクなどもパッケージ化することで、配管が不要なことが特徴。RHPに搭載するためには、さらに小型化する必要があるそうだが、油圧なら大きな衝撃にも耐えやすい。
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