トヨタもお試し中のVRシステム「NVIDIA Holodeck」、AIロボのIsaacとの連携も:VRニュース(2/3 ページ)
エヌビディアは「GTC Japan 2017」の会場で、同社が開発するVRシステム「NVIDIA Holodeck」の概要について明かした。同システムのアーリーアクセスを利用するトヨタ自動車による例も紹介した。
トヨタにおけるHolodeckの試用
同イベントでは、アーリーアクセスのユーザーであるトヨタ自動車(トヨタ)から、エンジニアリング情報管理部 情報管理企画室 主幹の栢野浩一氏が登壇し、同社の3Dデータ&VR・MR活用事例について述べた。会場ではトヨタ「レクサス」の車両データを用いたHolodeckのデモも実施した。
栢野氏が属するエンジニアリング情報管理部では、トヨタ社内のグローバルな全工程について、データを基準とした業務遂行を推進し支援している。技術情報を正しい内容でかつ送れなく利用部署に提供する。「データ活用の武器は車1台分のデータ」(栢野氏)だとして、3D CADシステムの「CATIA」や3Dデータ軽量化フォーマットのXVLを用いて、そのデータを全工程の業務で利用できるようにしている。
さらに、3D CADによる車両のデータを基に、3D CGツールでマテリアルデータや配色など設定し、写実的なデータに仕上げ、製品カタログやテレビCM、プロモーション動画などマーケティング部門の制作物で活用する。設計データからCGのビジュアルデータを作成する自工程完結により、国内外の販売拠点(ディーラー)が安心して利用できるデータの提供が可能だ。
VRの活用については同社多治見サービスセンターでの取り組みを紹介した。保守サービス現場の新車解説書や配線図、修理書は、以前は手描きのテクニカルイラストが用いられていた。まずは、それを3Dデータを基にした制作方法に変えることで大幅な削減が図れた。
2000年初頭にCATIAを導入し、3Dデータを用いた現場改善活動を実施して10年以上が経ち、デジタルデータにアレルギーを持たない人が社内に増えてきた。そのような背景からか、現場の方から、「もっとここで使えないか」とデータ活用の提案がくるようになったという。そこでVR・MR活用を開始した。栢野氏は今回、同社が試行中であるサービス分野におけるVR・MRの取り組みについて述べた。
VRコンテンツについて、栢野氏は特に「教育トレーニングでは使いやすい」と述べる。遠隔地で、かつ実機がその場になくても、リアルな体験をしてもらいながら研修を実施することが可能であることをその理由の1つとして挙げた。また、ゲーム感覚で取り組めるコンテンツが製作できることも利点だ。
VRのメリットとしては以下を挙げた。
- 時間・費用などの節約
- 理解度、習熟度の向上
- 効果的な分析・カイゼン
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