パナソニックと千葉工大がロボティクス家電を開発「産学連携の在り方を変える」:ロボット開発ニュース
パナソニックと千葉工業大学は、千葉県習志野市の同大学キャンパス内に「パナソニック・千葉工業大学産学連携センター」を設立。大学側の先端技術を応用した次世代ロボティクス家電の製品開発について、両者が企画段階から“ひざ詰め”で創り出していくことが特徴。今から2〜3年後となる2020年ごろを目標に製品化を目指す。
パナソニックと千葉工業大学は2017年12月13日、千葉県習志野市の同大学キャンパス内に「パナソニック・千葉工業大学産学連携センター(以下、連携センター)」を設立したと発表した。千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の先端技術を応用したパナソニック アプライアンス社の次世代ロボティクス家電の製品開発について、両者が企画段階から“ひざ詰め”で創り出していくことが特徴。今から2〜3年後となる2020年ごろを目標に製品化を目指す。
両者は設立と同日に連携センター内で会見を開き、提携の狙いなどについて説明した。fuRo 所長の古田貴之氏は「基礎研究レベルの研究開発の産学連携の事例は数多くある。しかし今回の連携センターは、製品開発を前提としていることが最大の特徴。製品の企画から技術開発、それらの技術移転に至るまでをカバーする産学連携は、国内では極めてまれと言っていい。日本の産学連携の在り方を変える取り組みになるのではないか」と強調する。また、企業と大学の産学連携センターを、大学のキャンパス内に置くことも珍しいという。
パナソニック アプライアンス社 常務 技術担当・(兼)技術本部長の渕上英巳氏は「当社では『家事労働からの解放』を目指して家電の開発を進めてきたが、この20年間は主婦が家事労働にかける時間は横ばいのままだった。連携センターで実現を目指す次世代ロボティクス家電により、家電の新たな進化につなげたい」と意気込む。
なお、連携センターのセンター長には古田氏が、副センター長には渕上氏が就任する。当初、連携センターでは、パナソニック アプライアンス社から10数人の人員を派遣し、fuRoと連携しながら具体的な製品開発に取り組む。渕上氏は連携センターの目標について「今後2〜3年、5年といった期間で事業化に結び付けたい。例えば、fuRoが持つ高速空間認識技術『ScanSLAM』と相性が良いロボット掃除機などが候補になるだろう。調理関連でも開発を進めたい」と説明する。
副センター長に渕上氏が就任するなど、パナソニックのアプライアンス社独自の取り組みのイメージが強いが「あくまでパナソニック側で中核になっているのがアプライアンス社であるだけで、パナソニック全社横断の施策になっている。当社が掲げる『技術10年ビジョン』の重点領域の1つは「IoT/ロボティクス領域」だが、連携センターの活動はその実現も視野に入っている」(渕上氏)という。
古田氏は「『新しい暮らし価値』を創るという意味で、千葉工業大学とパナソニックが目指す未来のビジョンは一致している。私個人としては、家電が大変好きで、パナソニックの家電をたくさん持っている。今回の連携センターについて、パナソニックから声が掛かった時には『よしきた!』という思いだった」と述べている。
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