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トヨタらしいIoTは「必要なモノを、必要な時に、必要なだけ」PTC Forum Japan 2017(2/2 ページ)

PTCジャパンのユーザーイベント「PTC Forum Japan 2017」の基調講演に、トヨタ自動車 エンジニアリングIT部長の細川昌宏氏が登壇。「トヨタ生産方式の心を持ったIoT、トヨタらしいIoTをまい進していく」(同氏)と語った。

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「トヨタ生産方式に沿ったデータ収集、分析、問題解決を行いたい」

 「リアルとバーチャルを融合したクルマづくり」では、デジタルファクトリーとリアルファクトリーの融合を目指している。スマートファクトリー、工場のIoT化などと呼ばれる取り組みだ。

 トヨタ自動車が事業を進めていく上での基礎になっているのがトヨタ生産方式だ。自働化とジャスト・イン・タイムに代表されるトヨタ生産方式は、現地現物でのムダの見極めが重要になってくる。細川氏は「しかし、これまでのシンプルな生産と比べて、生産ニーズの多様化に伴い、見極めは難しくなっている」と指摘する。

 この見極めにIoTを活用するため、エンジン部品加工設備で実物とデジタルの連携による現象再現の取り組みを進めた。ラインのリアルタイムな情報を見える化し、実際の加工時の様子をCADデータで再現。実加工で発生した問題を確認した。また、見える化によって得られたビッグデータから問題の要因を特定し、実機で対策することにより、問題発生の未然検知につなげた。「これらの取り組みから、要因の特定に用いている機械学習が魔法の箱ではなく、問題解決手法やPDCAを回すことが大事、ということが分かった。」(細川氏)。また、取り組みを進める上で「現場の巻き込み」も重要だったという。

 なお、これらの取り組み用いたのがPTCの産業用IoTプラットフォーム「ThingWorx」である。

 講演の最後で細川氏は、先述した取り組みの経験を基に、工場におけるIoT活用の課題を3つ指摘した。1つ目は、ネットワーク共有したPCがWindowsの脆弱性によってウイルス感染することだ。トヨタ自動車でも、北米でランサムウェア「WannaCry」の感染が確認されたという。「万が一WannaCryが設備や管理のPCにまん延すれば、工場のオペレーションは停止に追い込まれる」(同氏)。2つ目はセキュリティ対応できない古いOSが多数存在していることだ。これは、万単位の制御系システムが該当する。そして3つ目は、標準化されていないIoTデータだ。

 細川氏は「ビッグデータ分析において、根こそぎ集めて、全て運んで、ためて、そこから必死に探すというのは、トヨタ生産方式の教えに合致していない。データレイクはゴミ箱だし、せっかくのネットワークもゴミを運んでいるだけではないか」と指摘する。その上で、「トヨタ生産方式に沿ったデータ収集、分析、問題解決を行いたいと考えている。IoTデータについても『必要なモノを、必要な時に、必要なだけ』であるべきだ」(同氏)とし、そのために「つなぐプラットフォーム」と「必要な因子を見極める知見・手法」を検討しているという。

 現在、日立製作所と開発を進めている「工場IoTプラットフォーム」(関連記事:トヨタと日立がIoT基盤活用の実証実験を開始、突発的な故障の未然防止など目指して)は、細川氏が語る「トヨタらしいIoT」をまい進するためのものだ。「現在、このプラットフォームの『見える化』や『共通解析アプリ』の部分にThingWorxの採用を検討している段階だ」(同氏)としている。

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