アマゾンがマイコン向け組み込みOSを無償提供、FreeRTOSにライブラリをバンドル:組み込み開発ニュース
Amazon Web Services(AWS)は、マイコンなどを搭載するIoTエッジデバイス向けの組み込みOS「Amazon FreeRTOS」を発表した。組み込みシステム向けのオープンソースのリアルタイムOS「FreeRTOS」をカーネルに採用し、クラウドとの接続、セキュリティの確保、メンテナンス簡略化などの機能をライブラリで提供するものだ。
Amazon Web Services(AWS)は2017年11月29日、同社ユーザーイベント「AWS re:Invent 2017」において、マイコンなどを搭載するIoT(モノのインターネット)エッジデバイス向けの組み込みOS「Amazon FreeRTOS」を発表した。既に同社の製品Webサイト(英語)から無償でダウンロードできるようになっている
Amazon FreeRTOSは、組み込みシステム向けのオープンソースのリアルタイムOS「FreeRTOS」をカーネルに採用。IoTエッジデバイスとクラウドを容易に接続するとともに、セキュリティを確保し、メンテナンスを簡略する機能をライブラリによって拡張する。また将来的には、OTA(Over the Air)によるアップデートを可能にするライブラリも追加するとしている。
AWSのサービスとの連携では、「AWS IoT Core」に代表されるAWSのクラウドサービスに直接接続できる他、「AWS Greengrass」を組み込んだより高性能なIoTエッジデバイスと接続することもできる。
セキュリティについては、コード署名サービスを用いて信頼されたソフトウェアのみ実行するとともに、TLS(Transport Layer Security)を用いてAWSのクラウドサービスとの安全な接続を提供する。また、暗号鍵と機密性の高いデータをIoTエッジデバイス側に安全に保存する機能も用意するという。
IoTエッジデバイスへのAmazon FreeRTOSの組み込みは、AWSが提供するソフトウェア「Amazon FreeRTOS Console」上で利用するライブラリなどを選んでコンフィギュレーションを行い、ダウンロードするだけで行えるという。
Amazon FreeRTOSのハードウェアパートナーはテキサス・インスツルメンツ(TI)、マイクロチップ・テクノロジー、NXPセミコンダクターズ、STマイクロエレクトロニクスの4社。即座に利用可能な評価ボードとして、TIの「SimpleLink Wi-Fi CC3220SF LaunchPad開発キット」、マイクロチップの「Curiosity PIC32MZ EF Development Board」(間もなく発売)、NXPの「LPC54018 IoT Module」、STマイクロの「STM32L4 Discovery Kit IoT Node」がある。なお、ルネサス エレクトロニクスなどの国内メーカーのマイコンや評価ボードは現時点では未サポートとなっている。
また、エコシステム&技術パートナーには、Arm、IAR Systems、Percepio、WITTENSTEINなどが名を連ねている。
関連キーワード
IoT | RTOS | Amazon | Amazon Web Services | 組み込みOS | 組み込みシステム | オープンソース | リアルタイムOS | 組み込み開発ニュース
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Googleが新OS「Fuchsia」開発中、IoTデバイス向けRTOSか
Googleが新OS「Fuchsia」の開発プロジェクトを開始したようだ。LinuxやAndroidではなくLKをベースにしており、RTOSとしての完成を意図しているようだ。 - アマゾン「AWS IoT」は何が衝撃的なのか
米Amazonが発表したIoTサービス「AWS IoT」は業界に大きなインパクトを与えた。一企業の発表した取り組みがなぜ、IoTを取り巻く各社に大きな影響を及ぼすのかを考察する。 - 音声認識の覇権を握る「Amazon Alexa」、逆転の余地はまだある?
「CES 2017」で一躍存在感を高めた音声認識インタフェース「Amazon Alexa」。既に覇権を握りつつあるという見方も多い。それでも競合他社にとってまだ逆転の余地は残されているようだ。 - Arm「mbed OS」は立ち位置を変えながら進化する
2014年に開発中であることがアナウンスされたArmの「mbed OS」。その後、紆余曲折を経て、mbed OSの立ち位置と取り巻く環境が変わり、mbed OSそのものも大きく変わった。そこで、アップデートとして現状の「mbed OS」と、「mbed Cloud」などそれをとりまく環境を紹介する。 - マイクロソフト「Azure IoT」の強みはやはり「Windows 10 IoT」にあり
マイクロソフトのIoT向けクラウドサービス「Azure IoT」は、機能面ではアマゾンの「AWS IoT」と肩を並べている。しかし、Azure IoTの強みは、やはり組み込みOSである「Windows 10 IoT」との連携にこそある。 - 遅れてきた本命、グーグルのIoTはアマゾンとマイクロソフトに太刀打ちできるか
これまで、マイクロソフトの「Azure IoT」、アマゾンの「Amazon Alexa」を紹介してきたが、グーグルの動向に触れないわけにはいかないだろう。さまざまなてこ入れ策を打ち出しているグーグルだが、IoTでアマゾンとマイクロソフトに太刀打ちできるのだろうか。